(1)フライパン
そうです。料理をするフライパンです。私は事情で18年程前から3度の食事を作り続けております。料理が趣味と言う方もおりますが、私の場合はやらざるを得ない状況であり家族2人(母親と家内)の食事の面倒をみてきました。そのことを大雑把に振り返ってみます。
「初期の頃」
最初は何も分からず、人に料理を教えてもらう機会もなくただひたすらテレビの”3分間クッキング” と ”おしゃべりクッキング" を見て根気よく録画もしました。魚の捌き方は ”ためしてガッテン” が役に立ちました。不思議なもので録画すると何となく安心しました。録画した料理は1000を超えますが実際に作ったのはほんの一部です。更に調理器具も次から次へと揃え、失敗を重ねながら夢中になって料理を作りました。要領が悪く、台所を汚し、調理時間は長くかかるばかりです。しかし、3度の食事時間は必ずやってきます。その食事の用意と後片付けは大変でしたが何とか頑張り通したのです。
「中期の頃」
そうこうしているうちに料理にも自信がついて、気持ち的にも余裕がでてきました。料理は 美しく美味しい タイミングよく料理を出す という2つの事が重要です。(一般的には同時に料理を並べるのが普通ですが)ある時6人のお客をコース料理形式でおもてなししたことがあります。これが意外に上手に、先の料理を食べ終わった頃次の料理を暖かいうちに出すことが出来て、やれば出来ると大きな自信にもなったのです。この頃が料理に対する向上心が強く、体力的にもしっかりしていました。
実際にはこんな姿では料理はしません。面白半分に撮影したものです。
鶏肉と野菜の煮物 金目鯛のホイル焼き
ある日のY子の夕食(照り焼き乱暴だ) ある日のAkira君の昼食
料理で難しいと思ったのは天婦羅です。何時油から上げるか、油の音で判断、油の泡で判断、などと耳にしますが、私は長い箸に伝わる細かい振動で判断しました。揚がる時には箸の振動が手に伝わってきます。考えてみますと、油の音、泡、振動は関連があるのかも知れません。鱚、魳、鯵、烏賊、それぞれ美味しいのですが、私は少し肉厚で大きめの、ひらいた魳(カマス)の天婦羅がふんわりとして一番美味しいと思います。
「後期の頃」
つまり今現在で、近況です。料理を食べさせる相手も1人減り、今は2人での差し向かいの食事ですが、この相手は食べ物にあまりこだわりません。お互いに齢をとり、特に相手は箸を持つ手も心もとないのです。出来るだけ小さくした柔らかい食べ物を好みます。私も料理は簡単に、そして出来合いのものを最大限利用するようにしています。食器は軽い割れないプラスチック製に変え、以前揃えた調理器具は殆ど廃却して、最低限必要な包丁1本、圧力鍋1個、普通の鍋2個、及びお気に入りのフライパン1個にしました。このフライパン1個で、野菜炒め、ぶりの照り焼き、なすに煮びたし、親子丼、魚の煮つけ、等々ほとんどの料理が出来ます。それこそ丸いフライパンで四角な卵焼きも出来ます。この様に最近はクッキングスタイルを後期高齢者らしく変えました。
ある日のY子の朝食 ある日のY子の昼食
ある日のY子の昼食 ある日のY子の夕食
後期になると食器はすべてプラスチック製に変更して取り扱いを容易にしました。
四角にした卵焼き
(2)ミシン
そうです。縫製(裁縫)をするミシンです。事情である時から母親にグループホームに入ってもらいました。私の負担は減りましたが、それでも面会に行かねばなりません。その度にいろいろな要求が出ますが、難しいのは衣類です。新しい暖かいパジャマが欲しいとのことで、買って持参すると袖が長い、丈が長いと言います。丈を詰めるとポケットの位置を上に変更しなければなりません。要は必ずリフォームしなければ納まりません。いろいろあって最終的に30万円以上の高級ミシンを買いました。最初はゆっくりと操作しましたが慣れるとこれが面白いのです。布地を結合することは、溶接で鉄板を接合する、ボルトナットで部品を組み合わせるのと理屈は同じで、物を作る面白さがあるのです。途中で失敗しもしてパジャマを何枚もダメにしましたが、丁度良くできたねと言われた時は安堵しました。その親もいなくなったのでミシンの出番も少なくなりましたが、今でもズボンのすそ上げ、長い袖の修正、ほつれたところの修理などを行います。ミシンも使わないと故障がおおくなりますので時々潤滑のため雑巾を作っております。
これがそのミシン。相撲を観ながらミシン作業を出来るようになりました。
畑作業衣の袖が長いのを短くリフォームしたもの。(左袖は少し不自然)
先に台所で撮影したシェフのシャッツ、前掛け、帽子などは、古いホワイトシャッツ、厚手の敷布を利用して自分で作ったものです。白いテーブルクロスも作りました。胸に 熱川亭 と店の名前を入れようとしたが、このミシンではうまく文字刺繍は出来ませんでした。
料理 と 縫製、いずれも必要に迫られて始めたものですが、やってみれば面白いところがあります。趣味と言う程純粋でもなく誇れるものでもありませんが、今でも続けている日常生活の一部として書きました。正直、誰かに聞いてもらいたかった日常の一部分です。(A.Ishii)
(3)積雪 (標高 約600m に招待状も出さないのに雪がやってきました。)
2月1日~2日に掛けてこの山にも雪が積もりました。この様な大雪は珍しいのです。思い付きで追加しました。皆さんの所では寒波、積雪はいかがでしたか?