新型コロナの影響でサークル活動(絵と太極拳)を行っている交流館(公民館)が4月、5月と休館で、毎日 Stay Homeの状態です。心配ばかりしていても仕方ないので、この機をとらえて「淡彩画」の勉強をしています。
いくつかの「淡彩画」を描きましたので投稿いたします。
淡彩画を始めた動機は、前回投稿(「最近描いた絵(7)」、2020.3.11)に記しましたが、端的な動機は、製作時間の短縮です(透明水彩画の描く時間は5時間ほどですが、淡彩画では、2時間くらいの完成を期待しています)。
3月から数冊の淡彩画の参考書を入手し、模写も含め何枚か絵を描きました。
1.透明水彩画、淡彩画、アクリル画の比較
(1)淡彩画とは
「あっさりとした淡い色彩、快い緊張感が走る素描の線、見る人の想像を膨らませる余白、淡白でみずみずしい日本人好み表現、手軽で入りやすいけれど、限りなく奥が深い。・・・淡彩画は、わずかな時間に、どんな場所でも簡単な道具で描くことができます。・・・旅先でのスケッチに最適です」 (参考書より)以下、淡彩画の模写をいくつか掲載しますので、大体のイメージがつかめると思います。
(2)透明水彩画、淡彩画、アクリル画の比較
透明水彩画(経験約6年)、アクリル画(経験約2年)、淡彩画(初めて)は、いずれも水彩画(絵の具を水で溶く)ですが、今までの私の経験から比較すると次の通りです。なお、市内の愛好者の数は、透明水彩画が圧倒的に多くアクリル画、淡彩画は少数派のような感じています。・透明水彩画の難しいと思う点:①濁り:薄い色から濃い色へ、色を変えながら3段階くらいで色を重ねていきますが、下の絵の具の乾燥が十分でないと色が濁り透明感がなくなります。②にじみ:下の色の乾燥が十分でな いと上の色がにじんでしまう。③色の濃淡:絵の具への水の量で色の濃淡を調整しますが、この水加減を覚えるまでに経験を要する。④修正が効かない:一度着彩したら色や形の修正がほとんどできない。 以上の問題をクリヤーするには、沢山描いて経験を積むしかないと思っています。なお、最近では、透明水彩絵の具で 着彩した後に不透明絵の具で加筆し、問題点をカバーして仕上げています。
・アクリル画は、上記の水彩画の問題点をクリヤーできます。下の色を上に塗った色でマスクできますので、色や形を何度でも修正できます。「水彩は難しい、アクリルの方がやさしい」という方がおられますが、私も同感です。
ただし、アクリル画は慣れないと時間がかかります(私の場合:30時間前後)。
アクリル画はじっくり描くのに適しており、味わい深く、重厚さが表現できると思います。
・淡彩画は、鉛筆などによる下描きは、透明水彩画とほぼ同じですが(用紙は、淡彩画の方が小さく、スケッチブック がよく使われる)、色を薄く塗るため、着彩の時間が非常に少ないので短時間で仕上がります。
因みに、私の場合、製作時間は透明水彩画:5時間ほど、淡彩画:今の所2時間ほど。
淡彩画は、透明水彩画の着彩の問題点をクリアーできますが、仕上がりが淡白で物足りなさが否めません。
しかし、淡彩画は、直感的な美しさがあり、白地を残した余白から余韻が感じられ、趣があると思っています。
今後しばらくは、じっくり描くアクリル画(本命)と淡彩画を続けようと思っています。
2.淡彩画の参考書
淡彩画は、透明水彩画をシンプルにしたものと考えていますが、今までの透明水彩画の経験が、応用できると思っています(鉛筆などによる下描きは両者殆ど同じ、着彩が大きく異なります)。
淡彩画を始めるにあたって、参考書(下記)を最近入手し、勉強中です。
<参考書>
(1)「旅先からの淡彩スケッチ」 久山一枝 ・・・・・参考書A
及び「失敗しない水彩の色づくり」 久山一枝
(2)「淡彩スケッチのすすめ」 唐沢恭二 ・・・・・参考書B
(3)「淡彩で描く街角スケッチ」 服部久美子・・・・・参考書C
3.今回掲載した淡彩画(模写)
各参考書とも100点近くの作例と描き方の要領が掲載されています。上記参考書からそれぞれ2点ずつを計6点を模写しました。以下、写真1~写真6に示します。
(1)参考書A
著者は、水彩画、淡彩画、水墨画と幅広く絵を描いており、著書も数冊あるようです。 著書の中に「淡彩スケッチ 世界遺産の富士」があります。この中の風景画「日本平」のコメント欄に「私の実家 は、この日本平の麓にあり、・・・」とあり、著者は、静岡市出身のようです。
写真1.「春近し」(裏磐梯) 水墨画に似ていると感じました。初めての淡彩画です(描き直し)。
写真1.「春近し」(裏磐梯) |
写真2.「明神池への道」(上高地) 淡彩画として模写しましたが、透明水彩画とも言えます。
写真2.「明神池への道」(上高地) |
(2)参考書B
著者は、群馬県中之条町出身で、90点に及ぶ淡彩画の作例が掲載されています。
谷川岳、八海山、赤城山など群馬県や新潟県の山や田園風景などの絵が多い。
写真3.「玉原高原」(群馬県川場村)
写真3.「玉原高原」(群馬県川場村) |
写真4.「バラ」 静物画の例です。
写真4.「バラ」 |
(3)参考書C
100点の作例が掲載されています。街角のスケッチが多く、ヨーロッパの建物の絵もあります。
写真5.「清里」(北杜市)
写真5.「清里」(北杜市) |
写真6.「ベルサイユ」(フランス)
写真6.「ベルサイユ」(フランス) |
4.初めて描いた淡彩画
参考書を参考にして、近くの風景などを描いた淡彩画です。用紙のサイズは、すべて、26.3x21.6cm (A4サイズに近い)写真7.「カトリック清水教会」(市内、写真による)
参考書C.の中に似たような建物の淡彩画があり、これを参考にして描きました。
写真7.「カトリック清水教会」(市内) |
写真8.「洋蘭とヒメシャラの葉」(自宅)
参考書B.の中の静物画(花)を参考にして描きました(実物を見ながら)。
写真8「洋蘭とヒメシャラの葉」(自宅にて) |
写真9.「桜満開」(近くの公園)
思い切って、淡彩画風に描いてみました。白地を大胆に残してみました(最近の写真より)。
今までこの景色は、透明水彩画、アクリル画(次の写真10.)で描いたことがあります。
写真10.の絵は、ほぼ実際のままですが、写真9.の方は、遠景の省略など変更しています。
写真9.は写真10.と趣が大分違いますが、淡彩画の方が白地や淡い色の所に良い印象を受けています。制作時間:2時間半。
写真9.淡彩画、「桜満開」(近くの公園) |
写真10.アクリル画、「桜満開」(近くの公園)
この絵は、写真9.の「桜満開」と同じ景色です。2年ほど前に描いたアクリル画です。参考として掲載しました。サイズ:F6, 41.0X31.8cm、製作時間:約20時間。
写真10.アクリル画、「桜満開」(近くの公園、2年前)