2020年5月11日月曜日

最近描いた絵(8) Seiji Toyoshima

最近は新型コロナで大変な事態ですが、一日でも早く普通の生活が戻るように願っています。
新型コロナの影響でサークル活動(絵と太極拳)を行っている交流館(公民館)が4月、5月と休館で、毎日 Stay Homeの状態です。心配ばかりしていても仕方ないので、この機をとらえて「淡彩画」の勉強をしています。
                                      
いくつかの「淡彩画」を描きましたので投稿いたします。  
                                          
淡彩画を始めた動機は、前回投稿(「最近描いた絵(7)」、2020.3.11)に記しましたが、端的な動機は、製作時間の短縮です(透明水彩画の描く時間は5時間ほどですが、淡彩画では、2時間くらいの完成を期待しています)。

3月から数冊の淡彩画の参考書を入手し、模写も含め何枚か絵を描きました。
 

 1.透明水彩画、淡彩画、アクリル画の比較

 (1)淡彩画とは                         

「あっさりとした淡い色彩、快い緊張感が走る素描の線、見る人の想像を膨らませる余白、淡白でみずみずしい日本人好み表現、手軽で入りやすいけれど、限りなく奥が深い。・・・淡彩画は、わずかな時間に、どんな場所でも簡単な道具で描くことができます。・・・旅先でのスケッチに最適です」   (参考書より)
以下、淡彩画の模写をいくつか掲載しますので、大体のイメージがつかめると思います。        
  

(2)透明水彩画、淡彩画、アクリル画の比較    

  透明水彩画(経験約6年)、アクリル画(経験約2年)、淡彩画(初めて)は、いずれも水彩画(絵の具を水で溶く)ですが、今までの私の経験から比較すると次の通りです。なお、市内の愛好者の数は、透明水彩画が圧倒的に多くアクリル画、淡彩画は少数派のような感じています。
                                            
透明水彩画の難しいと思う点:①濁り:薄い色から濃い色へ、色を変えながら3段階くらいで色を重ねていきますが、下の絵の具の乾燥が十分でないと色が濁り透明感がなくなります。②にじみ下の色の乾燥が十分でな いと上の色がにじんでしまう。③色の濃淡:絵の具への水の量で色の濃淡を調整しますが、この水加減を覚えるまでに経験を要する。④修正が効かない:一度着彩したら色や形の修正がほとんどできない。  以上の問題をクリヤーするには、沢山描いて経験を積むしかないと思っています。なお、最近では、透明水彩絵の具で 着彩した後に不透明絵の具で加筆し、問題点をカバーして仕上げています。
                                            
・アクリル画は、上記の水彩画の問題点をクリヤーできます。下の色を上に塗った色でマスクできますので、色や形を何度でも修正できます。「水彩は難しい、アクリルの方がやさしい」という方がおられますが、私も同感です。                                            
ただし、アクリル画は慣れないと時間がかかります(私の場合:30時間前後)。
アクリル画はじっくり描くのに適しており、味わい深く、重厚さが表現できると思います。
                                            
淡彩画は、鉛筆などによる下描きは、透明水彩画とほぼ同じですが(用紙は、淡彩画の方が小さく、スケッチブック がよく使われる)、色を薄く塗るため、着彩の時間が非常に少ないので短時間で仕上がります。
因みに、私の場合、製作時間は透明水彩画:5時間ほど、淡彩画:今の所2時間ほど。
淡彩画は、透明水彩画の着彩の問題点をクリアーできますが、仕上がりが淡白で物足りなさが否めません。
しかし、淡彩画は、直感的な美しさがあり、白地を残した余白から余韻が感じられ、趣があると思っています。

今後しばらくは、じっくり描くアクリル画(本命)と淡彩画を続けようと思っています。
                                            

2.淡彩画の参考書 


  淡彩画は、透明水彩画をシンプルにしたものと考えていますが、今までの透明水彩画の経験が、応用できると思っています(鉛筆などによる下描きは両者殆ど同じ、着彩が大きく異なります)。
淡彩画を始めるにあたって、参考書(下記)を最近入手し、勉強中です。
                                            
<参考書>                                            
(1)「旅先からの淡彩スケッチ」 久山一枝 ・・・・・参考書A                                            
   及び「失敗しない水彩の色づくり」 久山一枝                                             
(2)「淡彩スケッチのすすめ」 唐沢恭二  ・・・・・参考書B                                            
(3)「淡彩で描く街角スケッチ」 服部久美子・・・・・参考書C                                            
                                            

3.今回掲載した淡彩画(模写)                                             

各参考書とも100点近くの作例と描き方の要領が掲載されています。                                             
上記参考書からそれぞれ2点ずつを計6点を模写しました。以下、写真1~写真6に示します。
                                             
(1)参考書A                                             
著者は、水彩画、淡彩画、水墨画と幅広く絵を描いており、著書も数冊あるようです。 著書の中に「淡彩スケッチ 世界遺産の富士」があります。この中の風景画「日本平」のコメント欄に「私の実家 は、この日本平の麓にあり、・・・」とあり、著者は、静岡市出身のようです。
                                             
写真1.「春近し」(裏磐梯) 水墨画に似ていると感じました。初めての淡彩画です(描き直し)。
 

写真1.「春近し」(裏磐梯)
 
写真2.「明神池への道」(上高地) 淡彩画として模写しましたが、透明水彩画とも言えます。

写真2.「明神池への道」(上高地)
                                          
(2)参考書B                                             
著者は、群馬県中之条町出身で、90点に及ぶ淡彩画の作例が掲載されています。
谷川岳、八海山、赤城山など群馬県や新潟県の山や田園風景などの絵が多い。          
                                             
写真3.「玉原高原」(群馬県川場村) 

写真3.「玉原高原」(群馬県川場村)

写真4.「バラ」 静物画の例です。                                                 
                     

写真4.「バラ」
                     
(3)参考書C                                             
100点の作例が掲載されています。街角のスケッチが多く、ヨーロッパの建物の絵もあります。

写真5.「清里」(北杜市) 

写真5.「清里」(北杜市)


写真6.「ベルサイユ」(フランス) 

写真6.「ベルサイユ」(フランス)


   4.初めて描いた淡彩画                                              

参考書を参考にして、近くの風景などを描いた淡彩画です。用紙のサイズは、すべて、26.3x21.6cm (A4サイズに近い)

写真7.「カトリック清水教会」(市内、写真による)                                              
参考書C.の中に似たような建物の淡彩画があり、これを参考にして描きました。                           
   
写真7.「カトリック清水教会」(市内)
                                         
写真8.「洋蘭とヒメシャラの葉」(自宅)                                             
参考書B.の中の静物画(花)を参考にして描きました(実物を見ながら)。 

写真8「洋蘭とヒメシャラの葉」(自宅にて)

                                         
写真9.「桜満開」(近くの公園)                                             
思い切って、淡彩画風に描いてみました。白地を大胆に残してみました(最近の写真より)。
今までこの景色は、透明水彩画、アクリル画(次の写真10.)で描いたことがあります。
写真10.の絵は、ほぼ実際のままですが、写真9.の方は、遠景の省略など変更しています。
写真9.は写真10.と趣が大分違いますが、淡彩画の方が白地や淡い色の所に良い印象を受けています。制作時間:2時間半。     


写真9.淡彩画、「桜満開」(近くの公園)
                                              
写真10.アクリル画、「桜満開」(近くの公園)                                             
この絵は、写真9.の「桜満開」と同じ景色です。2年ほど前に描いたアクリル画です。参考として掲載しました。サイズ:F6, 41.0X31.8cm、製作時間:約20時間。   

                                   写真10.アクリル画、「桜満開」(近くの公園、2年前)

13 件のコメント:

  1. いずれも素晴らしい作品で感心しました。淡彩画は初めてとのことですが 初めて描いたとはとても思えません。拝見して感激しました。そして解説が親切で 絵心のない私にもよく理解出来ました。
    (一般的な感想)
    急にこんな素晴らしい淡彩画を描くことは不可能と思いますが、透明水彩画とアクリル画の豊富な経験があるから 淡彩画も描けるものと理解します。 そして絵は時間をかければ よい作品が出来るとは限らないと感じました。 技法は別にして 何枚も何枚も沢山描き その中で何点か光り輝くものが出てくるのではないでしょうか? 従って2時間で描いた淡彩画でも 感動を与える作品になることと思います。
    (個別の感想)
    ●写真1 「春近し」(裏磐梯)
    黒基調で水墨画 或はモノトーンの写真みたいで素晴らしいです。 木の根元の雪が風で飛ばされ窪んでいる感じが絶妙です。 実際に雪山に行くとこの光景がよく見られますが その感じがよく出ています。 この感じをアクリルで出すとなると 非常に大変なのではと思いました。
    ●写真2 「明神池への道」(上高地)
    透明水彩画といわれればそうかなとも思えますが いずれにしても若い葉の色が素晴らしく 細かい説明はいらないと言う感じです。
    ●写真3 「玉原高原」(群馬県川湯村)
    余り色を使わずに白の部分を上手く生かして描かれ 雰囲気が十分に伝わってきます。 川湯村で穫れるお米は量が少なく流通しないが美味しいと 旅をした知人が昔送ってくれたことを思い出しました。 素朴な感じが伝わります。
    ●写真4 「バラ」(静物画)
    バラの花そのものが強烈な個性という先入観から やはり真紅の重厚な大輪を想像します。 ピンクのバラもありますが 淡彩画にすると少しパンチが足りない感じがします。
    ●写真5 「清里」(北杜市)
    建物を大きく描くときは 淡彩画では難しい気がします。 多分ハイジの村の情景と思われますが。
    ●写真6 「ベルサイユ」(フランス)
    苦労して描いておられる感じがします。 真正面に大きく建物を描くときは難しいですね。 左側の塔は実物は白いと思いますが うっすらと色を付けて欲しい気がするのは 私だけでしょうか。
    ●写真7 「カトリック清水教会」(市内)
    これも大きな建物ですが 遠近感がある構図が非常に良いと思います。 特に奥の三角の屋根が距離を感じさせます。
    ●写真8 「洋蘭とヒメシャラの葉」(自宅)
    とても気に入りました。 我が家にもヒメシャラはありますが 成る程これはヒメシャラだと納得できて 洋蘭との色のバランスが絶妙で素晴らしいです。
    ●写真9-10 「桜満開」(近くの公園)
    同じ絵が2つあると優劣を付けたくなる 悪い癖をどうかお許し下さい。 私は淡彩画の方が好みです。 桜の花がよりリアルであり 奥の方の山かげが絵に深みを感じさせます。 そして絵全体の明るさがよいと思います。

    以上、よく分からない者が長々と書きました。 失礼な記述があったらお許し下さい。 わたくしは Toyoshima さんの絵のファンで よい絵を観させていただきありがとうございます。

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    1. コメントありがとうございました。一枚一枚よく見ていただき、講評までいただき感謝です。今後の参考にします。写真1.「春近し」で水墨画を感じられたようでが(私も同感)、参考書A.の著者:久山氏は、水墨画の本(「墨の旅路 風と樹と光」、最近購入)も出されており、「新水墨画教会主宰」で活躍されおられようです。水墨画の本の中の作例をみますと、着彩すれば、透明水彩画や淡彩画になると思われるものが多く見られます。興味を持ちました。皆さんに気に入った絵が描けるよう頑張りたいと思っています。

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    2. 先の返信の中の「新水墨画教会主宰」は、「教会」はミスで「協会」でした。

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  2.  貴兄の絵に対する熱意はものすごいですね。今まで見せていただいたいくつかの絵よりも、この「淡彩画」はとても気に入りました。絵に対するコメントは、石井さんが色々と批評してくれているのでなんとなくわかる気がします。私は絵に対する素養が無いので、石井さんに譲ります。「春近し」は水墨画的で気に入りました。写真9「桜満開」もすっきっりした感じで、気に入りました。それにしても貴兄の絵に対する情熱には頭が下がります。

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    1. 淡彩画を気に入っていただきありがとうございました。模写では、3名の画家の作例を参考にしましたが、それぞれ個性があり作風が異なります。今の所、久山氏の作風が気に入っています。今後これを参考にして、しばらく淡彩画を描いてみたいと思っています。
      「春近し」について、「水墨画」を感じられたようですが、Ishiiさんのコメントへの返信に記しましたが、水墨画に興味を持ち始めました。墨の扱いが難しいとおもいますが・・・。

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  3. 久山一枝さんのHPを見ました。 巧みに描かれた多数の作品に驚かされ しばし見入ってしまいました。 水墨画的な絵も素晴らしく 太い古木などの絵も見事でした。 これらの作品を拝見すると 私がイメージしていた淡水画の概念が少し変わる様な気がしました。

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  4. また、新しい描き方の開拓ですね。
    明神池への道、いい感じです。上手に書かれています。
    描いて行かれると違った境地が出来ますね。
    カトリック清水教会などの建物や街角も良い題材になるでしょう。
    洋蘭とヒメシャラの葉の花瓶と影の感じが良いです。
    流石、桜満開のアクリル画は迫力が違います。

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    1. よく見ていただいて、ありがとうございました。交流館のサークルでは、しばらく淡彩画を続けようと思っています。野外スケッチで空気感を感じながら、仕上げられたらよいと思っています。
      桜満開のアクリル画に迫力を感じられたようですが、アクリル画はじっくりと時間を掛けて作り上げていくという感じがあり、重厚さやボリュウム感がありますね。一昨日から絵画教室では、アクリル画を描き始めました。

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  5.  野尻さんもコメントしていましたが、豊島さんの絵画に対する思いは熱情という表現が適切かどうかわかりませんが、とにかくすごいですね。三種類の描き方の説明よくわかりました。また同じ淡彩画でも、その方のスタイルがあって、それぞれの良さというものが感じられました。これからも、ご精進されて豊島スタイルの力作のご披露を楽しみにしております。

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  6. コメントありがとうございました。私の今までの絵の経験と言えば、20~30年前の現役の頃、日本画や油彩画を通信講座で試みたことがあります(中断)。なぜか、以前から絵に興味がありました。リタイヤ後は、時間が十分ありますので、絵のサークルの皆さんから、良い刺激を受けながら、絵を楽しんできました。今では、野外スポーツは、体力的に無理ですので、専ら絵描きとなっています。

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  7. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  8. コメント遅くなり申し訳ございません。実は、パソコンが壊れて市内の修理屋に頼んだところ、ハードディスクの交換ということでしたが、数日後現品で説明したいと言うことで出向くと、ハードディスクの交換でなく基盤の修理で当店ではできないので、メーカーに修理を頼むか新品を購入するしか無いと言われ、量販店でdynabookを購入したところ数日要し本日手元に届きました。セットアップも今まで使用したアカウントやパスワードは変えろとか色々手間取りました。
    漸くコメントしたところ、公開の段階でトラブり折角のコメントも消えて書き直しです。
    早速コメント致します。
    感動しています。画風が一変してみんな傑作揃いです。新しい画法では奥行きがあって、見る人の想いが拡がり、絵に表せていないものまで感じとる魅力があります。淡彩画は、「見る人の想像を膨らませる余白があり限りなく奥深い」と説明にありましたが、俳句と似ている点があると感じました。俳句も、読む人の想像力を膨らませるのが命です。そこで、例によって拙い一句をお許し下さい。
    「春近し」       白き幹 裏磐梯の 雪緩む
    「明神池への道」    若葉沿い 明神池へ 足軽く
    「玉原高原」      草木の 深き栖 素懐かな
    「バラ」        謝意の品 バラの花添え 母の日に
    「清里」        深呼吸 清里の家 青い夏
    「ベルサイユ」     宮殿を 尋ねし日の ベルサイユ
    「カトリック清水教会」 異国調 湊清水の 文化識る
    「洋蘭とヒメシャラの葉」洋蘭とヒメシャラの葉の コラボかな
    「桜満開」       水面を ピンクに染める 花曇り
    「桜満開」       公園の 四阿のどか 花盛り

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    1. いつも一枚一枚俳句を作っていただき、ありがとうございます。感心したいます。
      淡彩画も俳句と似ている点があるとのことですが、すべて説明するのではなく、白地を残して、見る人の想像にお任せするということでしょうか。
      あるWebサイトに「淡彩画のこつ」が6項目ありました。その中に「塗りの残しを気にせずに・・・適度な塗り残しは、画面にさわやかな感じを与えます。また、まわりも全部塗る必要はありません。余白を残す方が余韻を感じられます」とありました。塗り残し、白地の意味をよく考え、取り入れていきたいと思っています。

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