2021年11月29日月曜日

 簡便法による掛軸作り

 コロナ禍で恒例の展示会が今年も中止となり、掛軸作りも興味半減ですが、最近かな文字の書に挑戦しており、島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の一部をかな文字で書してみました。これを簡便法で掛け軸に仕立ててみましたので投稿します。

 ごまかしの掛軸作りですが、掛軸作りのための「裂地(きれじ)、柔糊(やわのり)、裏打ち紙」等の入手にも苦労しています(東京まで直接買いに行けないので)。通常のものは宅急便で取り寄せが出来ますが、裂地は柄や模様などの品決めが出来ないので苦労しています。

 今回は既存の掛軸の文字の部分を削除して、カナ文字の別の書を張り付ける方法(ごまかしの方法)で製作しました。

1.既存の掛軸です。あまり出来が良くないので、この掛軸の中味を犠牲にします。
2.文字の部分を削除します。文字以外の部分を流用します。

3.島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の一部をかな文字で書し、裏打ちをしてしわの無い状態 にします。通常の裏打ち作業と同じ。

4.2.の状態(文字部分を削除した状態)のものに、新しく表装したもの(3)を裏面に張り付けます。糊が十分乾燥したら文字の部分とその周囲を「宇田紙:少し厚手の裏打ち紙」で裏打ちして補強します。これは通常の「総裏打ち」と同じ。よく乾燥したら「数珠摺り」
(掛け軸の表面が折れ曲がらないように「数珠」で左右に擦り表面を柔らかくする。)
 落款印を押して出来上がりです。以上のような方法で別物の掛軸が出来上がりました。この方法だと裂地、軸棒などを省略できるので安上がりです。