2017年12月8日金曜日

 以前完成した掛け軸の写真を投稿しましたが、その時、表装の基本について若干触れたと思います。今回は少し詳しく表装のことについて投稿してみたいと思います。
1.何故表装に興味を持ったか?
  「書」は以前から好きだったが、自分の書いたものを「きれいに見せる」ためには「表装」することが必要で、これを自分でやりたくて始めた。

2.どこで学んだか:東京の大塚にある「㈱マスミ」という、表装などの材料を取り扱う専門の店が有り、ここに「表装道場」があり、2年半ほどここに通い、表具師に師事して手法を学んだ。

3.まず表装に使う道具を紹介します。次の写真の通りです。写真を入力すると、順序が違ってしまいます。どうしてでしょう? 何時もこれで悩んでいます。

4.表装の手順:①書を良く乾燥した後、作業台に載せて噴霧器で湿りを与えて、刷毛でしわを伸ばす。裏打紙(和紙)によく練った柔糊(やわのり)を糊刷毛で満遍なく塗り、掛竹(かけだけ)で持ち上げて、本紙(作品)に裏打紙を打つ。

今回はここまでにしておきます。説明がしつこすぎるかもしれませんが、勘弁してください。説明を追加すると写真が所定のところに納まらないので、「説明を追加」で挿入するのをやめて、写真を挿入する前に解説を付けて収めました。


写真に示すように1:刷毛 糊刷毛2種(柔糊用、ボンド用)、撫ぜ刷毛3種(しわ伸ばし用)、糊盆2個(糊を練るために使う:柔糊用とボンド用)、噴霧器、カッター、はさみ等等、材料:表装切継ぎ糊、柔のり  
        



上の写真の他、必要な道具は作業台(600m×2000m)、直定規(2.2m、1.2m)、掛竹、文鎮(おもり)、のこぎり、三角定規、数珠、白蝋等等。



次に裏打ち作業(作品の裏側に糊を付けた和紙を張る作業)の様子を示します。和紙に柔のりを刷毛で良く伸ばして付け、掛竹(かけだけ)で掴んで、本紙に裏打する。空気が入らないように、和紙がたるまないようにして本紙に載せる。空気の入ったところは、刷毛で空気を追い出すようにして和紙を本紙に密着させる。



13 件のコメント:

  1. 野尻様 投稿有難うございます。苦労された写真の挿入ですが、ポイントは下記です。
    次の写真を挿入する時は、挿入したい位置にマウスのカーソルを持って来てから、挿入操作を始めてください。必ず出来ます。もう1度トライしてみて下さい。

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    1. 色々とご指導いただきありがとうございます。これからも頑張ります。

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    2. 色々と御指導頂き有難うございます。今回は写真の「説明を追加」を使わずに、先に解説を付けた後に写真を入力しました。これからも頑張ります。

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  2. 野尻様 書が好きと言う端緒で表装までの探究心、素晴らしいバイタリティです。是非とも続けて欲しいですね。ところで、写真の説明の文字が小さくて読めないのですか、数珠はどの様に使うのすか?

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    1. 写真の説明の文字については、当初字の大きさを帰る方法が解らず,そのまま入力してしまいました。解説では文字の大きさを変えることに成功しましたので、大きな字にしました。今後は大きめの字で解説します。疑問点の「数珠」の使い道ですが、この後の解説で説明する予定ですが、本紙(作品)と裂地(布切れの部分)とをつなぎ合わせた後、全体をもう一度裏打ち(総裏打ちという)します。これを十分乾燥後、掛軸を巻いた時に折れないように、裏側に白蝋を塗って数珠で横に擦ります。この作業はとても力の要る作業ですが、これをしないと掛け軸を巻いた時に、折れ線がついてしまいます。これを避けるために行います。今後の掛軸製作の工程をお楽しみに。

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  3. 揃えられた道具から思うに沢山の行程があって、ある工程では長い待ち時間があるのではないでしょうか?糊が乾くのだって時間がかかる。それから以前風があると駄目と言っておられましたが繊細な作業も要求されるのでしょう。難しい作業と長い時間をかけて一つの作品を完成させるのですから出来上がった時の達成感、喜びはひとしおで何物にも代えがたいものと思います。東京の「表装道場」に2.5年通われたその集中力にも、さすがと思います。それにしても大島さんの言われる数珠はどのように使うのか頭をひねります。当てずっぽうで、糊が生乾きの時に作品に隙間を作るために間に入れて丸めどこかに運搬する。違いますよね!(A.Ishii)


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    1. 素晴らしいコメントを頂きありがとうございます。豊島氏の「般若心経」の解説のように、何回かに分けて、手法を紹介したいと思っています。」ほかにネタがないので悪しからず。ご指摘のように、まず最初に本紙(作品)に糊を付けた和紙を裏から貼り付けますが(裏打ちという)、これが乾くまでに3日~4日掛かります。この後もう一度裏打ちをします(増裏打ちという)。その後乾燥が必要です。同様にして裂地(きれじ:布切れ)にも2回の裏打ちをします。なぜ2回かというと作品の表面を皺の無いきれいな状態にするためです。今後の解説を参考にしてください。数珠については大嶋氏のコメント解説をご覧ください。

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  4. 安楽岡弘久2017年12月9日 23:02

    やはり書が好きということが、表装までこだわる動機づけになるんですね。好きこそものの上手なりですか。「掛竹に掴んで……」の写真に野尻さんが写っていますが、頭髪の質や量と言い、50歳前後と言っても誰も疑わないでしょう。芸術に純粋に取り組んでいると若さが失われないんですね。また素晴らしい書をご披露ください。

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    1. 自分の写真は道場に通っていた頃の写真ですので、10年くらい前のものです。今は髪は白髪だらけですが元気だけは負けずに頑張っています。月の2~3回はゴルフを楽しんでいます。趣味の「書」及び表装はこれからも続けたいと思っています。

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  5. ・大島さんと石井さんのコメントにある「数珠」が気になり、しばらく考えていました。数珠は、お葬式の時に使っていましたが、その意味については、よく知りませんでした。
    ・辞書によると、「数珠は、数多くの玉を糸で貫いて、輪形にした仏具。仏事、法要の際、手や首にかけて用いる」とあります。
    ・ネットによると、様々な種類の数珠が出ていますが、宗派によっても異なるようです。普通、手にかけて使いますが、首に掛けるもの、二重のものも見られます。野尻さんの記事の数珠は、首に掛けるものか、二重巻きのものかのいずれかと思います。これを道具として使うか、何かお祈りのような形で使うかと思われますが、いずれでしょうか?
    ・私は、般若心経の写経の前に「作法」として、「般若心経」を唱えていますが、これから想像すると、表装を始める前に、「お祈り」のようなことに使うのだろうと思いました。煩悩を消滅させ、功徳が得られるように。私流には、気持ちを清め、集中力を高めるために。
    さて、正解は?

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    1. 掛軸製作の道具としての数珠について、色々と面白いコメントを頂きありがとうございます。大嶋氏への返信で説明の通り、数珠の玉によって、裏打ちした「和紙」を柔らかくして、掛軸を巻いた時に作品が折れて筋が入ったりするのを避けるためで、この作業をするのに数珠が好都合なのではないかと思います。専門の経師屋(表装の先生)さんが昔から使っている手法だと思います。お祈りではありません。

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  6. 野尻様、写真の入れ替えを何度もトライご苦労様でした
    もう、何でも出来ますよ。
    それにしても裏打ち上手にされますね。幅が広くなると大変ですね。
    近所に書道の先生がいますが、業者に出されています。
    書は、裏打ちで見違えるようになりますね。
    これから、書を書くたびに掲載下さい。

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    1. 写真を掲載するのは本当に難しいですね。思うような解説が付けられず、毎回苦労しています、他の皆さんは全く困難に遭遇せずに掲載しているのでうらやましいです。

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