2020年4月18日土曜日

坂本龍馬の「船中八策」を書して額に飾る

 コロナウイルスの感染問題で日本中が揺れています。外へも出られないし、本日は雨で暇なので、今年の展示会用作品の一部を紹介します。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中に書かれている、「大政奉還」を遂行するときに、竜馬が掲げた「船中八策」を取り上げました。作品が大きいので、額を製作して飾ることにしました。
手順1:文言を書して、表装(肌裏打、増裏打、補強の裏打:3工程)し、作品を完成。
手順2:作品の大きさに合わせて、額縁の寸法を決め、設計図を作成。
手順3:材料を揃える。ホームセンターで入手可能
  額縁用外枠材:ヒノキの加工品 幅40×厚さ15×長さ1800×2本  ¥1,256
  透明アクリル板:       横幅900×縦600×厚さ3mm   ¥3,498
  作品保持用裏側板:      横幅900×縦600×厚さ3mm   ¥   646
  額縁枠補強用金具:      止ビス付き4個              ¥  440
  油性ニス    :      和信、色:ウオールナッツ       ¥  657
  額用 Pカン、丸紐、ミニワイヤー自在吊                 ¥1,469
  裏側板保持用トンボ:     12個、アクリル板端材を加工
  費用合計                              ¥7,966
手順4:制作手順と作業工具
  ①枠の結合方法:サンプルを作成して確認 表面、裏面、結合状態を示す
  
                                                            おもて面のサンプル加工
               裏面のサンプル加工
               枠の結合状態:直角度が重要
  
  ②枠の加工:特殊工具を使って、コーナー部及び段差部を加工

            特殊のこぎりで段差部を加工
          段差部を特殊カンナで加工(のこぎりで加工後)
  ③額縁枠の組付け
   木工用ボンドで4隅を順次接着、大型三角定規を使って直角度を確認しながら  
   接着、確実に接着するには24時間乾燥。その後4隅を補強用金具で固定。
                左側コーナー(表面)
               右側コーナー(表面)
                 裏面、補強金具
                 枠全体のおもて面
              枠全体のうら面 4隅に補強金具
  ④透明アクリル板、作品保持用裏側板、板押さえ用のトンボの加工
   額縁の寸法に合わせて、それぞれをカット(のこぎりで加工可)
   トンボはアクリル板の端材を所定の寸法にカットして、穴あけ加工
  ⑤額縁枠の表面仕上げ:油性ニス(色:ウオールナッツ)3回塗り
手順5:表面塗装乾燥後トンボをねじ止め、吊り金具を取り付けて、作品を収納し完成。


最終完成品 裏側には吊金具、紐、トンボ12箇所
 途中のサンプル加工の写真が抜けていたので編集し直しました。以前石井さんから教えていただいた方法で編集しました。













      

14 件のコメント:

  1. 坂本龍馬の「船中八策」見事な出来栄えですね。額縁の設計図を見ると、PCで見た大きさよりはるかに大きいのに驚いています。だとすれば、市販の額縁では賄えないので、額縁も自前と納得です。
    結構額縁も自分で作っているんですか。器用ですね。感心しています。
    ところで、当地には田中光顕伯爵が建てた古谿荘という歴史的建物が、隣の蒲原には西山荘という建造物がありますが、田中光顕の出身地高知県で作られている銘酒に「船中八策」というのがあります。「船中八策」と合わせて「司牡丹」などを西山荘で何度か飲食したことがあります。
    西山荘は、日本軽金属が所有していて社員でも簡単には利用できない歴史的建物ですが、たまたま、軽金の総務部長と親交があったので便宜を図っていただきました。

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    1. 貴兄は色々とよくご存じですね。銘酒「船中八策」については全く知りません。額については、書き物をどのように飾るかで悩んだ末に、掛軸にはし難いので作品に合う額縁を作製する事にしました。木工製品を作るのは楽しいです。

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  2. Nojiri様の書体は、いつ見ても、右上がり右下がりなどの癖がありませんし、横に曲がることなく真っ直ぐに書かれており、どっしりとしていて安心して見れます。好感を持ちます。
    改めて読むと、必要簡潔に大事がしたためてありますね。明治維新を前に亡くなったのは残念ですね。しかし、後に続く人に受け継がれてきたことにも意味がありますね。
    額作りの道具もそろえられ、柔らかい桐枠を傷つけることなく、上手に作られ、手慣れたものです。何故か、夏でもないのにランニングで作っている姿が見に浮かびます。
    西郷隆盛、坂本龍馬と維新時の文を好まれますね。

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    1. 褒めていただきありがとうございます。筆で文字を書くときは全体のバランスを重要視しています。文字の出来が余り良くなくても、バランスよく配置されていると、多少見栄えも良くなるので気を使っています。気に入るまでには数枚書いています。女房に無駄なお金を使っていると叱られています。大工道具は自分の親父の遺品で、ほとんど自分では買い求めていません。

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  3. 素晴らしい作品で只々感心しております。大嶋さんと同様に作品が大きいと気づき、750X590 の大きさをスケールで実際に確認したところです。しかも手作りの重厚な額縁が一層書を引き立たせていますね。額縁制作工程と使用する道具を見ると、これはもう完全にプロの世界です。書の方も、よくもこのように上手に書けるものと感心しきりで、こちらもプロ級です。恥ずかしながら「船中八策」の意味を知らず、調べてみました。書かれている内容を理解してから、改めて作品を観ますとその立派さと重みを感じます。展示会でも大きな反響を呼ぶことでしょう。野尻さんにとって一生の宝物ですね。

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    1. コメントありがとうございます。皆さんに褒めていただきありがとうございます。貴兄の野菜作りと一緒です。時間が有り余っているので木工細工は面白いです。今さんに聞き忘れましたが、多分貴兄も良く解るのではないかとお尋ねします。途中の写真(サンプル作成の写真)が消えてしまっているのはどうしてでしょうか。何時もブログに投稿するときに苦労するのは写真の掲載で、同じ欄にいくつかの写真を載せようとしてもうまくいきません。従って長々と説明が長くなってしまいます。どのように編集すればよいのでしょうか。もし解れば教えてください。

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    2. 私の回答が遅れ済みません。imasan の明解な助言で写真3枚復元出来て何よりです。(1)写真が消えた原因を追究すべく、同じ現象を起こすようにいろいろ試みましたが再現しません。Google にメールで問い合わせしても適切な回答は無しです。しかし、同じ現象を指摘している人もいますので Google のシステムの問題と思います。私の能力では消えた原因は分かりません。(2)写真を同じ欄に並べるのは私も出来ません。そこで別の無料ソフト (Easy Pict) を使うと写真を並べたり、4枚組にしたりできます。自分でダウンロード、インストールしなければなりませんがそれ程難しくありません。一度練習にやってみることをお薦めします。A.Ishii

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    3. 石井さんありがとうございます。今さんからもコメントいただき安心しました。再編集も以前に貴兄から教えて頂いた方法で出来ました。しかし暫らく投稿していないとやり方を忘れて何度もやり直しました。

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  4. Nojiri様 もう1度「編集」に戻って、表面上1度消えた写真を削除して、再びアップし直して下さい。元に戻ります。写真は、丸いマークの表示ですが、残っていますので、削除してから再アップしてください。丸いマークの写真をダウンロードすると、正常な写真です。

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  5. ・「船中八策」については、Nojiriさんのメール添付の「解説」をよく読んでみました。この機会に関連情報をいくつか見てみましたが、大政奉還、二院制議会の設置、憲法の制定などの提案 は、その後の大政奉還、明治維新に引き継がれたとあります。時代背景もあると思いますが将来の国家像を考えた先見性のある人物ということを改めて思いました。
    ・書と額縁制作については、A.Ishiiさんのコメントと全く同じような感想を持ちました。特に「枠の結合方法」と「特殊のこぎり」に感心しました。「特殊のこぎり」は初めて見ました。
    額縁制作と書は「プロ級」と思いました。

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    1. 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」はこれまでも何度か読み返していますが、貴兄のご指摘のように「坂本龍馬の先見性」については改めて感心しました。木工細工は好きで、これまでにもいろ色と造ってきましたが、最近は女房殿から発注が無い(以前は市販されていないサイズのテーブルとかの要求が有りましたが)ので、しばらくぶりの作品です。

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  6. 坂本竜馬については、私の勉強不足で、新し物好きで目立ちたがり屋の幕末の志士くらいの認識でしたが、野尻さんの解説で大幅に認識を改めました。早死にしなければ新政府のリーダーの一人として、的確なビジョンを持って列強の中で日本をより高い政治的経済的な立場にするような活躍をしたかもしれないと思った次第です。
    今回ご投稿の力作の書といい、額装もご自分で素敵なものに仕上げた腕は、私などからするとまさに大家の書であり、また匠の技と言えましょう。これからもますますご精進されて、力作をご披露ください。

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    1. 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の本によれば、竜馬という人物は真に不用心の人物であったように思われます。大政奉還が江戸幕府によって受け入れられたことを知って、たいへんよろこんだ。しかしある人物から「新選組が全力で竜馬のスキを狙っているから、土佐藩邸移った方が良いと」と忠告を受けていたにもかかわらず、これを無視して、中岡慎太郎と別のところで逢っていて、二人とも不用心のまま襲われた。竜馬という人物は「死」ということに全く無関心であったという。貴兄のご指摘のように、惜しい人物が暗殺によってこの世を去ったのはいかにも惜しい気がする。

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