2024年7月28日日曜日

私の人工透析治療生活(6)   A.Ishii

透析患者であったら誰しも自分が受けている治療が、うまく行われているか知りたいところでしょう。 その透析効率を測る指標、URR および Kt/V に特化して今回述べます。 

「1」URR(尿素除去率)

URR とは 透析により、特に尿素などの老廃物がどれくらい 除去されたかを示す指標です。 血液検査項目の中に血中尿素窒素(BUN)という検査項目があります。 筋肉や 血液などの体の主要組織を作るタンパク質は役割を終えると、老廃物となって血液中に現れます。この老廃物を測定した値が BUNであり、このBUNの透析前と後の検査値から透析効率を算出するのです。 私の7月の検査結果から URR を計算しますと  透析前 60.7   透析後 21.5 (mg/DL) でした。従って


   URR = (60.7 - 21.5) / 60.7  X  (100%)  =  64.6 %        です。(非常に簡単な計算です)


  そこで今までの検査値をもとに この URR の推移をグラフにしました。


 考察

(1) グラフを参照ください。 透析開始初期の昨年9月から10月の URR は低い状態です。

    そこで H 医師 は即、 透析時間を3.0 H から 3.5 H に延長しました。その結果 URR は

65% 近辺まで見事に改善したことが分かります。

 (2)それ以降の URR は大きな バラツキも なく、平均値  64.7% と 基準値( 65%以上を目標)

近似して現在まで推移しています。なかなか 頑張っており、治療が順調に行われている

言えます。


「2」Kt / V (尿素の標準化透析量)

 先の URR とセットで Kt / V が1つの特性として注視されています。

 K:クリアランス  t: 透析時間 (分)   V: 患者の体液量(Litre) x 0.6      ということです

(註:通常体重の60%が体液とみなされます。)

「クリアランス」 など 慣れない英語が出てきて難しそうです。 確かに分かりにくく、 私も

うまく明できません。 詳しく勉強したい方は下記「Kt/V とは?」をクリックしてください。


                 KT/V とは?




 Kt/V の計算方法


難しいことは抜きにして Kt / V を一つの指標と考え、 その計算方法を紹介します 。

これは 愛知県腎臓病協議会のホームページで紹介されている 自動計算システムです。関連するデータ

を入力すれば自動的にURR および Kt / Vをセットで計算してくれます。面白いですよ。 




「3」URR & Kt / V 算出結果

上記の算出システムで、過去の検査値及び関連データで算出した結果です。


考察

 (1)URR はすでに グラフ化して説明済みなので省略します。

 (2) Kt / V について (透析時間 3.5時間で) は 平均値 1.24です。 基準値は1.4~1.6ですので

    十分頑張っていると言えます。(註:米国では基準値として 1.2 以上を推奨している。)

 (3) Kt / V のと 死亡のリスクの関係について、 インターネットの資料をそのまま転載します。

     私の Kt / V は 平均値が 1.24 ですから 死亡のリスクは0.8 ぐらいです。



      私の Kt / V は 平均値が 1.24 ですから 死亡のリスクは0.8 ぐらいです。

お疲れ様でした。
           *****  おわり  *****

2024年7月14日日曜日

私の人工透析治療生活(5)   A.Ishii

すっかり 常態化した通常透析治療を続ける日々です。 透析中は腕がしびれたり、 足がつったりして辛いのですが、 それが終われば 老人ホーム「ライフケアガーデン熱川」で幸せに暮らしています。

「1」クレアチニン (I/Net抜粋)

クレアチニンは腎臓でろ過されて尿として排出されます。血中のクレアチニンの濃度が上昇していることは 腎臓の機能が低下して十分にろ過出来てないことを意味します。 クレアチニンが高い値を示す場合、 腎臓に何らかの異常があると言えます。 急性腎臓病、 慢性腎臓病、 心不全、 などが疑われます。 クレアチニンの検査は腎臓の機能を調べる上で ポピュラーな検査ですが、数値は筋肉の量に左右されるため男女差が大きく、 また腎臓の機能が半分程度まで低下しないと高い値を示さないという欠点があります。 そのため 近年ではより精度の高い検査である推算糸球体濾過量(eGFR) の検査を追加して行うことが多くなりました。    

注記:推算糸球体とは「毛細血管の集合体」 


「2」クレアチニン値の推移

クレアチニンの推移をたどると、私が人工透析への道をまっしぐらに進んだ様子が、手に取るように分かります。 言うなれば、なるべくしてなった人工透析治療生活、自業自得と言えます。


グラフの見方

 1)血液検査を行った病院は  豊寿園病院( かかりつけ病院)、西伊豆病院(緊急透析治療対応可能)、熱川温泉病院( 通常透析治療のみ)の三つの病院です。

2)横軸は期間を表しますが、 左の方は 9年間を圧縮して記載しています。 右の方は1ヶ月に2回 血液検査をしており、その検査結果をすべて記載しました。( 歯抜けもあります)


今までの経緯

①2020年以降、豊寿園病院の M 医師から クレアチニンが高いので 専門医で診察を受けることを強く勧められました。更に 医師は、体重を減らせ、 塩分を減らせ、 醤油は ちょこっと、と執拗に云いました。

②2022年 M医師 は 透析の段階である。現在腎臓を回復する薬はない。人工透析治療を受けるか、腎臓移植しか、腎臓を救う道はない。と 強力に勧告してきました。 

③2023年6月に 私は 呼吸が苦しくなり、 急いで外に出て深呼吸をすることがありましたが改善しないままです。 そしてついに歩行も困難になったのです。

④2023年6月末 役場へ 這いずるようにして行き、 持ち回りで介護認定をしてくれる様に依頼し、何とか助けて欲しい、と頼み込みました。役場の担当者、U嬢は親切で私の窮状をすぐ理解してくれました。

⑤2023年7月初め、介護認定を前提にして、役場の紹介で老人ホーム「 ライフケアガーデン熱川」に入居しました。

そして、翌日隣接する 熱川温泉病院で診察を受けたのです。 診察にあたったF 医師から、このままではすぐ死ぬ。どうせ死ぬのなら透析治療を受けなさい。と言われました。そしてF医師は緊急連絡先の私の娘に自ら電話をして、緊急入院と治療の了解をとりました。

そして即刻救急車でその日のうちに 西伊豆病院へ送り込まれたのです。これから先はすでに書きました様に Y医師により、首から穴をあけ緊急透析治療の処置がとられたのです。


考察 

1) かかりつけ M医師から長期にわたり 注意とアドバイスを受けながら、自分の 踏ん切りの悪さから有効な対策が取れなかった。

2)クレアチニンは 2023年(赤矢印部分)に 急増した。その結果自分で動くことが困難になった。診察した F 医師にすぐ死ぬよとまで言われた。

3) 緊急処置で上に伸びる グラフを一気に横倒しにして、 何とか一命を取り止めたことがわかる。これは西伊豆病院の Y 先生の素晴らしい処置のお蔭と思います。

4)通常の透析を開始した 初期の頃(青矢印部分)、 クレアチニンは思うように下がらず 右肩上がりの傾向に、H医師は 透析時間を3時間から3.5時間に延長した。その後 一応 並行を保っているように見えるが 今後どうなるか予断を許さない。


 クレアチニン は 透析で下がる


私の透析前後のクレアチニンの値のグラフです。個々のデータは省略しますが、透析前の平均値は 8.8 透析後の平均値は 4.3 です。

 従って平均値ベースで  (8.8 ー4.3) / 8.8 = 51.1%    です


すなわち透析をすればクレアチニンは半減しています。 もちろんこの減少率が満足できなければ、透析時間を伸ばしたり、 血液の流量を上げたり、することが必要になります。


つまり大雑把に言えば 8.0 ぐらいある クレアチニンを1回の透析で4.0ぐらいまで減らします。 しかし 中1日置いた 次の透析日までには、また元の8.0 ぐらいのクレアチニンの量に戻っています。 それをまた透析で4.0まで下げるわけです。 すなわち 同じことの繰り返しです。 透析をやめれば当然 クレアチニンは一気に増えることになります。ですから必死になって 透析でクレアチンを除去しているのです。

何やら ドライウェイトの話と似ているようなところがありますね。 

私の場合 クレアチニンが4.0から8.0の間を行ったり来たりしてるのは、健常者(基準値 0.61~1.04)に比べると とんでもない 高い 深刻なレベルでやっていることもご理解ください 。


クレアチニンは 透析で下がるがまた元のレベルまで戻る。 ということになります。


「3」eGFR


eGFR は腎臓の機能がどの程度あるかを示す値です。厳密に言うと eGFR は腎臓の糸球体という、

不要な物質と必要な物質を分離する腎臓のフィルターが1分間に処理している血液量を示しています。

つまり フィルターが目詰まりしたら 流動が減ることになるでしょう。 ですから 流量が多い方が

フィルターの機能が良い状態にあると判断される。と思います。


私なりに今少し クレアチニンと  eGFRの違いについて考えてみました。両者の単位は、クレアチニン

mg/dl(重さ)であり、eGFR は mL/min(体積)で全く異なる特性であると考えます。



eGFR 値 は透析で上がる





平均値ベースで1.3倍に改善されて います。


慢性腎臓病はその進行度によってステージ1から5段階に分けて、そのステージに応じて 診療計画が立てられることになります。理由は分かりませんが ステージ3は a とb に分かれています。

詳しくは下記参照ください。 ちなみに私は完全にステージ5で、末期的腎不全です。






「4」私の問題点

1)クレアチニン棒グラフを参照してください。 直近の 7月(赤線のところ)は 6月に比べ クレアチニンの減少率が (平均51.1% ➡  7月は 39.4%) 非常に悪くなった。 つまり 現状の透析条件では クレアチニンの除去率が悪くなる可能性が大きい。

2)eGFR の 棒グラフを参照してください。3月から 直近の 7月まで(赤線のところ)は 現在の透析条件では、 eGFR の改善能力が右肩下がりで減少する可能性が大きい。


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 4月10日の 回診でH医師から 透析時間を現在の3.5時間 ➡ 4.0 時間に変更するかもしれない。

と言われた。このことは理屈としては全く妥当な処置と私も納得します。しかし これは私には気分的に歓迎できない変更で、 大きな問題点である。 そして暗澹たる気持ちになったのです。



            *****  おわり  *****        



2024年7月7日日曜日

私の人工透析治療生活(4)   A.Ishii

 私の人工透析治療が始まって1年が経過しました。 その間に経験したことを少しずつ書いていきます。


「1」 右目失明

1年前 西伊豆病院で緊急透析を受けていた時です、 壁の時計がどうも はっきり見えませんでした。 ある日 天井に蜂の大群が見えて、大声を出そうと思ったら 我にかえり、 それが幻覚と分かったのです。 しかし その後 四角いものが歪んで見えたり、 人がそばを横切ったりするように人影が見えたりする 不思議な現象が起きました。 しかし 当時は 透析の治療で他のことなど頭が回りませんでした。

その後熱川で通常の透析をはじめて、 しばらくしたら完全に右目が見えなくなってしまったのです。


 天はなぜに 私に 苦難を与えるのか と心の中で嘆き悲しみました。 がどうしようもありません。


「2」透析後体重とドライウエイト

透析患者は尿が十分に出ないので、透析を受けて体に溜まった 余分な水分を除きます。 その分 体重が減るが、水分の量が過剰になっても不足してもいけないわけです。 体の中の水分が適正な状態の時の体重を ドライ ウェイトといい、 この体重を基本にして透析で水分などを除去することになります。


上のグラフは、私が熱川で透析を開始した初日からごく最近の 7月3日までの全ての 透析後の体重 及び ドライウェイト及び除水量の推移を示したグラフ です。

ドライウェイトを少しずつ下げると(① ➡ ② )、 実際の体重もそれにしっかり追従して下がることがはっきり分かります。 また ドライウェイトを一定にして(② ➡ ③)、 適量の除水をすることによって、体重も一定に保たれることが分かります。


おもしろい計算をして見ます。 透析実施日数 N=133  1日当たり平均除水量 = 2368 cc


故に 2368 X 133 = 314944 cc = 315 Litre 315 / 200 (ドラム缶)= 1.5 (ドラム缶) つまり 私が熱川で透析を受け始めて今日までに ドラム缶1本半分の水分を除水されたことになります。

もちろん 満額ではありませんが、相当量の水分はその都度 補充されているわけですがその少しばかりの差が 体重の減少になっていると考えられます 。 もし健康であれば同等量の尿を排泄しているともいえるのではないでしょうか。


「3」CTR と DW

インターネットで調べたことをそのまま書きます。(CTR:Cardio-Thoracic Ratio:心胸郭比)

定期的に撮影している胸部 X 線画像から得られる情報の1つに心胸郭比、 CTR があります。 この

CTR は ドライウェイト を適正に維持するための判断材料の一つです。ドライウエイトは体内の水分を適正に維持し、 心臓をはじめとした循環器系に余分な負担をかけずに

長期にわたり 快適な生活を維持するための体重です。水分は体内の細胞の血管の中にあるものと血管の外側の間質と呼ばれるところにあるものがありま

す。間質の水分が増えるとむくみを生じます。 血管の中の水分が増えると血圧が上昇して心臓の負担が

増し、減ると血圧が下がり めまいなどの症状を生じます。 従って体内の水分は生理食塩液(0..9%食

塩水)とほぼ同じ濃度で、 口乾刺激による 飲水量の調節で常に一定濃度に維持されています。

ですから塩を取ると喉が渇き 一定の濃度の塩水となるまで水を飲んでしまうため、水分が増えて体重

が増加します。 体重増加の一番の要因は この塩水の蓄積です。 ドライウェイトは体重 全体ですので

筋肉量や 体脂肪の量が変化した際にも水分を適正に保つために修正が必要となります。 ドライウェ

イトを評価する際には血圧やむくみの症状などの状態などと ともに CTRが利用されます。

CTR は 胸部正面 X 線画像での心臓の幅と胸郭の幅の比率です。



CTR は 男性では50%以下 女性では 55%以下が 適正とされています。
私の場合 月に一度 胸部の X 線写真撮影があります。H医師は肺に水が溜まっていないか確認したり、そして CTR を出して ドライウエイトを決めているそうです。このことは透析技師に確認済みです。



しかし もともと心臓に病気があって心臓が大きい場合には無理に適正な値にすることはできません。

心臓の大きさは 個人個人違ったものですから、経時的にどのように変化しているのか、 また撮影した

時の体重や その時の状態を考慮して ドライ ウェイトを設定の判断材料の一つにしています。

 

以上は調べた資料のコピーですが、 簡単に言えば ドライウェイトは この CTR の値を見ながら下げて

いく 量を調節していると言えます。 従って 数学的に計算して決めるものではなさそうです。


DWを決めるのは医師の仕事です。しかし大体のことを知っておくことは大切な事でしょう。


「4」クレアチニン

それでは 私がどうしようもない 慢性腎不全患者となり、 人工透析を受ける身となったのか! その経緯を少しずつ これから述べていきます。


クレアチンリン酸という物質は筋肉が運動するための重要なエネルギー 源ですです。 これが代謝された

後にできる老廃物が クレアチニンです。 クレアチニンは腎臓でろ過されて尿として排出されるため、

血中

のクレアチニンの濃度は上昇していることは 腎臓の機能が低下していることを意味します。

クレアチニンの異常からわかることは

クレアチニンが高い値を示す場合 腎臓に何らかの異常が起きていることは考えられます。 急性腎臓病、

慢性腎臓病、心不全、などが疑われます。腎不全が起きると腎臓に血液が流れにくくなって 老廃物が

排泄できなくなってしまいます。

クレアチニンの検査は腎臓の機能を調べる上で ポピュラーな検査ですが、 数値は筋肉の量に左右され

るため男女差が大きく、 また腎臓の機能が半分程度まで低下しないと高い値を示さないという欠点が

あります。 そのため 近年ではより精度の高い検査である推算糸球体濾過量(eGFR)の検査を追加し

て行うことが多くなってきました。医師の指導を受けた上で、そのような検査を同時に行うのも良いで

しょう。


長くなったので これから先は 次回に譲ります。 クレアチニンです。 血液検査をしたら、どうか クレアチニンに注目してください。 これをおろそかにすると大変なことになるかもしれません。 


          *****  おわり  *****


2024年7月3日水曜日

私の老人ホーム生活(4)    A.Ishii

ここ、 ライフケアガーデン熱川 の 一つの楽しい企画に、外食 ツアーがあります。 今回 それに参加

しましたので 特別編として投稿します。こじんまりした海鮮料理店で、雰囲気も良く楽しかったです。

ツアーのメンバー  :入居者6名  施設職員3名 。 日時 : 2024-7-2 11am ~ 13pm 行先   : 隣町の稲取にある かもめ食堂。

「1」ツアーの様子

  大漁旗があるかもめ食堂。

 到着して みんなの 注文する料理をまとめています。

 久しぶりの外食で笑顔になりました。

 それでは 揃って記念撮影。

  私が注文した刺身定食のお刺身。

 海鮮料理専門店で店内は賑やか。 料理ではマンボウの腸もある。


 楽しい 食事も終わり、 稲取漁港の前で記念撮影。( 入居者のみ)

「2」感想

1)天気に恵まれ 料理も美味しく、 本当に楽しい ツアーでした。2)いつものことながら、 入居者 6名に 施設職員 3名 の手厚いサポート体制で安心でした。3)私は1年前は車椅子から立ち上がるのがやっとでした。 それが ペンギン歩きですが、 ツアーに   参加できるようになったのです。 そして ライフケアガーデン熱川のファミリーの一員として   幸せに暮らしています。 自分でもよくここまで回復したものだと感慨深いものがあります。   これも施設の職員の皆様のおかげと、いつも感謝しております。

            *****   終わり   *****