透析患者であったら誰しも自分が受けている治療が、うまく行われているか知りたいところでしょう。 その透析効率を測る指標、URR および Kt/V に特化して今回述べます。
「1」URR(尿素除去率)
URR とは 透析により、特に尿素などの老廃物がどれくらい 除去されたかを示す指標です。 血液検査項目の中に血中尿素窒素(BUN)という検査項目があります。 筋肉や 血液などの体の主要組織を作るタンパク質は役割を終えると、老廃物となって血液中に現れます。この老廃物を測定した値が BUNであり、このBUNの透析前と後の検査値から透析効率を算出するのです。 私の7月の検査結果から URR を計算しますと 透析前 60.7 透析後 21.5 (mg/DL) でした。従って
URR = (60.7 - 21.5) / 60.7 X (100%) = 64.6 % です。(非常に簡単な計算です)
そこで今までの検査値をもとに この URR の推移をグラフにしました。
考察
(1) グラフを参照ください。 透析開始初期の昨年9月から10月の URR は低い状態です。
そこで H 医師 は即、 透析時間を3.0 H から 3.5 H に延長しました。その結果 URR は
65% 近辺まで見事に改善したことが分かります。
(2)それ以降の URR は大きな バラツキも なく、平均値 64.7% と 基準値( 65%以上を目標)
に近似して現在まで推移しています。なかなか 頑張っており、治療が順調に行われている
と言えます。
先の URR とセットで Kt / V が1つの特性として注視されています。
K:クリアランス t: 透析時間 (分) V: 患者の体液量(Litre) x 0.6 ということです
が (註:通常体重の60%が体液とみなされます。)
「クリアランス」 など 慣れない英語が出てきて難しそうです。 確かに分かりにくく、 私も
うまく説明できません。 詳しく勉強したい方は下記「Kt/V とは?」をクリックしてください。
Kt/V の計算方法
難しいことは抜きにして Kt / V を一つの指標と考え、 その計算方法を紹介します 。
これは 愛知県腎臓病協議会のホームページで紹介されている 自動計算システムです。関連するデータ
を入力すれば自動的にURR および Kt / Vをセットで計算してくれます。面白いですよ。
考察
(1)URR はすでに グラフ化して説明済みなので省略します。
(2) Kt / V について (透析時間 3.5時間で) は 平均値 1.24です。 基準値は1.4~1.6ですので
十分頑張っていると言えます。(註:米国では基準値として 1.2 以上を推奨している。)
(3) Kt / V のと 死亡のリスクの関係について、 インターネットの資料をそのまま転載します。
私の Kt / V は 平均値が 1.24 ですから 死亡のリスクは0.8 ぐらいです。
私の透析生活(5)は透析にならないための指標クレアチニンの話でしたが、今回の(6)は、透析を受けるようになった後、身体の中の毒素を効率良く(時間をかけて)排出し、Kt/Vを増加させ死亡リスクを低減させる努力をされているのですね。
返信削除透析時間を3時間が3.5時間にされた理由は、以上を勘案してお医者様が決められたのですね。まだ延ばす余裕がります。安心度!
コメントありがとうございます。
返信削除私の透析センターでは 最近 患者が減って、5~6名です。 中には4時間コースの方もいます。 いずれにしても同じ姿勢での、長い拘束時間がつらく、 手足がしびれ足がつることがあります。苦しくなって ”もういいよ” などと叫ぶ人、 あるいは 何だかんだ 言って駄々をこねる人、もいます。 気持ちがよく分かります。 しかし 世の中にはもっと辛い病気の方々がおられると、 私は自分に言い聞かせて自分を励ますしかありません。 私も 4時間までは何とか耐えられそうですが、それ以上になると我慢できるか心配です。 病気になってからでは遅いので、日頃から健康には注意することが大切と、つくづく最近思います。
石井さん 自分の体験から次々にデータの意味や解析をして戴き有難うございました。今迄関心を持っていなかったURR&Kt/Vも凄く意味があり関心を持って体調管理する必要があると痛感しています。石井さんのお陰で透析についての認識不足が徐々に溶解していく様に感じています。透析している間は辛いようですが、その辛さがあればこそ車椅子からも離れて自分のため時間帯も生まれるのでしょうから乗り越えていただきたいと思います。石井さんのポジティブなスタンスに幸多かれです。
返信削除いつもコメントありがとうございます。
返信削除正直、 透析のことを 細々と書いても、健常者の方々には面白くないだろうと心配していました。しかし貴兄のように読んで、励ましのコメントまでくださることに感謝しております。 皆さんが このブログに、細かいことは抜きにして、目を通し、 腎臓病に関心を持っていただきたい。
そして さらに広い意味で自分の健康により注意をしていただけたらと
願うのみです。 少しずつ 病気のことを勉強すると、人間の体の仕組み、働きの凄さに驚きます。我々 仲間は機械工学専攻でしたが、 人間の体も超精密機械ですね。 今後もよろしくお願いします。
透析に関する細かい分析、説明に頭が下がります。学生のころから研究室で、卒業研究でも詳細に分析などされていたのかなとふと思い出しました。透析に関するコメントが出来なくてごめんなさい。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除透析に詳しくなるなんてあまり自慢にもなりません。 その病気になって勉強してみても遅いですね。 このブログを斜めに読んでいただき、 腎臓病について 用心していただけたら 私としても嬉しいです。 ミナヨシ会 同窓会の写真を見ますと、皆様お元気そうです。 そして貴兄も若々しくて 健康そうですね。 腰痛があるとか、 どうぞお大事にしてください。