長い梅雨が明けて、暑い日が続いています。相変わらず、絵描きと太極拳を続けています。
今回の投稿は、最近(5月~7月)描いた、アクリル画5点(写真)を描いた順に掲載します。
また、最近、(初歩的なことのようですが)絵の描き方のうち、構図について心掛けていることも記します。
1.絵の構図についての考え
(1)いきさつ
・絵は、構図により見栄えが大きく変わってくるので、構図をどうするか準備が必要です。最近、絵の構図についての考えに一つの転機が訪れている(やや大袈裟ですが)と思っています。
最近、風景画を描いていると、絵画教室の先生から、絵の中に人物像を追加したらとアドバイスを受けます。7年前に交流館のクラブで水彩画を始めてから、専らモチーフをそのまま写実的に描いてきましたので、先生のアドバイスには違和感を覚えていました。しかし、実際風景画の中に人物像を追加して見ると、そこに別世界が広がり、見応えのある絵になることを実感しています。
また、県の作品展に出品する上級者の長期にわたって描いているサイズ100号(サイズ、1.6mX1.1m) クラスの絵を見ると、複数の画像を組み合わせた(創作性あり)作品にしているのを見かけます(構想3か月、絵描き3か月ともいわれます)。
・そこで、一年ほど前の新聞投稿記事※1 を改めて読むと、江戸時代の有名な画家も、複数の景色(リアリズム ※2)を組み合わせて、全体を巧みに融合させ、素晴らしい絵としていることがわかりました。この解説が暗示となり、転機の始まりとなりました。
※1:新聞記事(2020年2月)の要点
(題名)「虚構とリアリズム融合」
・葛飾北斎(1760~1846)の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」についての解説。
「現実には到底あり得ない、海上の巨大な波に、江戸に鮮魚類を運ぶ押送舟は翻弄され、今にも海中に呑み込まれそうである」、この絵は、①押送舟、②せり上がる大波、③鎮座する富士山の三つで構成されており、「虚構とリアリズムが見事に融合した大胆かつ緻密に計算し尽された画面である」とあります。
この絵は世界的に有名ですが、複数のリアリズム(三つの景色)を一つの絵(虚構)としてまとめたものと考えられます。
※2:リアリズム」
リアリズム(写実主義):現実をありのままに模写、再現しようとする芸術上の傾向。その描き方は、現実をありのままに、主観による改変・装飾を排して、客観的に観察し、ありのままに描き出す技法(19世紀中葉、ヨーロッパに興った)。(辞書より)
(2)絵の構図についての二つの描き方(プラス法とミックス法)
今までの絵の描き方は、リアリズム(写実主義)の描き方が殆どで、絵といえばリアリズムと考えていました。しかし、絵画教室での影響などから、リアリズムを発展させて何らかの改変を行った、描き方があることを認識するようになりました。
その描き方は(勝手に私が定義しました)①プラス法、②ミックス法 です。
①「プラス法」:写実の絵に中に、人物像などを追加する描き方。(小規模改変)
②「ミックス法」:ある意図をもって(想像力必要)、複数の実際の景色を再構成して全体的に融合を図り、美しい絵を作るという描き方。
今後、これら二つの描き方を意識しながら、描いていこうと思っています。
いつか、ミックス法で想像(創造)性豊かな絵を描いてみたいと思っています。
以下、最近描いた絵5点(写真)を掲載します。
なお、5点とも、アクリル画で、サイズはF6(41X31.8cm)です。
2.「公園散歩」:写真1.
近くの公園の登り口付近の風景です(5月)。小さな橋の両側の大きな木は、八重桜です。沢山あるソメイヨシノの桜が散った後に咲きます。親子の散歩の姿は、他の場面の写真を参考に描き加えたものです(プラス法)。この追加により、雰囲気が変わってきたと思います。
写真1.公園散歩 |
先に「花菖蒲が見頃です(6)」を投稿しましたが、その中の花菖蒲をいくつか取り出し、並べて描いたものです。この畑の花菖蒲は、10種類ほどあります。「ミックス法」を試みましたが、全体的には写実的になっていて、雰囲気があまりないようです。
写真2.「花菖蒲」 |
4.「へら鮒釣り」:写真3.
近くの公園には、大小二つの池がありますが、小さい方の池で、終日のようにへら鮒釣りをする人たちを見かけます。なかなか釣れないようですが、たまに釣り上げたところをみます。大きさは、20~30cmくらいで、すぐリリースしています。
故郷で小学生の頃は、よく川釣りに行きました。また、こちらに来てからは、海岸からの投げ釣りに時々行きました。キスなどがたまに釣れるくらいでしたが、太平洋を眺めて、潮騒を聞いているとよい気分転換になりました。
プラス法で、人物は、他の場面の写真を参考にして追加しました。
写真3.「へら鮒釣り」 |
5.「錦鯉」:写真4.
公園の大きい方の池に立派な水上の四阿(あずまや)があります。ここから、水面に浮かぶ蓮や、餌に集まった錦鯉をカメラで何枚か撮り、この二つを組み合わせるというアイデアで描いたものです(ミックス法・・・少し考えたつもりです)。
錦鯉は鑑賞用に改良した鯉で、黒色以外の色彩があるものをいうとあります。大きさは70cmくらいと思われます。黒色の鯉も沢山見えました。
写真4.「錦鯉」 |
絵の描き方、特に構図の書き方に関心を持たれたことは、次のステップアップにつながる飽くなき挑戦だと思います。プラス法により「公園散歩」や「ヘラ鮒釣り」は絵に動きが加わり厚みが増した様に思います。ミックス法で描かれた「花菖蒲」もプラス法を加えて、アゲハ蝶が舞うのも良いのではないかと感じました。人物以外の動物もプラス法の対象になると思います。単調な絵に躍動感が生まれます。「錦鯉」は難しいと思いますが、水面の表情(例えば水紋とか水流等)が表現されるともっと良くなると思います。2021年5月18日発表の最近描いた絵(12)の「クロガネモチ」で、5羽のカモが泳いでいる絵はそれとなく水面に表情があってとても良いと気に入っている絵の一つです。
返信削除色々と勝手なコメントしましたが気にしないでください。例によって拙い一句を添えます。
公園散歩 公園を 親子黙して 歩く朝
花菖蒲 夕焼けに アゲハが泳ぐ 花菖蒲
ヘラ鮒釣り 池のふち ヘラ鮒釣りに 馴染み顔
錦鯉 ハスの中 群れて跳ねたり 錦鯉
オニユリ 鬼百合や 名の如不気味 毒々し
いずれも的を射たコメントでありがとうございました。参考にさせていただきます。また、俳句を詠んでいただき、ありがとうございます。
削除構図についての課題は、次のステップと考えています。絵の先輩たちの県レベルの作品展に出品する大きな絵をいくつか見ているうちに、構図の作り方を工夫していることにやっと気づいたようです。
構図についての情報を集めるため、早速参考書「巨匠に学ぶ 構図の基本」を購入し、読み始めたところです。世界的に有名な絵の構図について解説してあります。
しばらく勉強です。
(A) ①プラス法と②ミックス法の考え方はよく分かりました。(B) ①ミックス法は作者だけが分かって鑑賞者には分からないと思います。作者にこの部分が「小規模改変」したと解説してもらえばわかる。(C) 「神奈川沖浪裏」は②ミックス法と思うがミックスした結果、構図に矛盾(虚構)が生じても許される。具体的には大波と舟の大きさに矛盾があり、こんなことはあり得ないが名画と云われている。D)「錦鯉」の絵は鑑賞者にはミックス法なのか判別できない。言われなければ鯉がいるのが実際の風景と理解します。もし3尾の鯉が同時に空中に跳躍していたらどうなるか?それは虚構の世界となる。 以上ですが投稿を拝読してから「神奈川沖浪裏」は本当に名画かと大きな疑問を感じました。それにしても絵とは難しいと思いました。山下清さんのマジックで描いた2匹のカタツムリの絵に高額な値がついたりして・・・。 よくわからないのに理屈を言って済みません。絵を鑑賞する場合、素直な心で絵に対面すればよいとゆうのが私の結論です。プラス法もミックス法も作者側のプロセスの問題であると理解しました。
返信削除・コメントありがとうございました。プラス法とミックス法は、自己流の呼び方ですが、私の楽屋裏の話のようで、分かりにくかったと思います(恐縮です)。この際、今まですっきりしない点を少しはっきりさせようと思ったわけです。
削除・「錦鯉」の絵は、鯉が泳いでいる写真と蓮だけの写真を思い付きで組み合わせたものです。フィクション的になりましたが、過去に蓮の中を泳ぐ鯉を見たことがあります。
・「神奈川沖浪裏」については、大嶋さんのコメントの所で記した「巨匠に学ぶ 構図の基本」中にも解説がありました。「北斎は同じ構図を何回も試みて、世界的な名作を完成させました」とあります。この絵は、見る人を「わくわくさせ楽しくする名画」だそうです。
・構図については、先の長い難しい課題と思っています。
いつも色鮮やかな絵を載せていただき有難うございます。
返信削除影になる部分を丁寧に描かれているから色も映えるのでしょう。
コロナの時の癒しになります。
北斎について書かれていますが、私が見た北斎展で印象的だったのは、北斎漫画です。
絵手本ですが、色々な人物とそのしぐさ、松の木とその重なり、色々な動物など、絵を構成する要素スケッチが一杯描かれていました。15編あるようです。欲しいと思いました。
また、驚いたのは、先で交わる線を入れ、建物を遠近法で描く方法まで書いています。
浮世絵師は、こうした色々なものを描く訓練で、絵の構成を考えたら風景や人物を見なくても描けるのですね。
大波など、強調するところはデフォルメしたり浮世絵の巧みさには驚かされます。
こうした絵の構成をヨーロッパの印象派の画家が真似したりしました。
また、日本画も写実でなく、スケッチしたものをそのまま描くのではなく美しく構成し直しています。
豊島様も経験を積まれ自由に構成を変え始められたのですね。
人を描き入れたら、背景の木の大きさを感じます。より現実的かもしれません。
コメントありがとうございます。
削除・「北斎漫画」について少し調べてみました。以下、引用です。
「北斎が1812年頃、300点余りの下絵を描いたもの(略)、「各地の門人などの指南書で絵手本(略)、江戸時代のベストセラーとなった」とあります。
また、「事物をとりとめもなく気の向くままに漫(そぞ)ろに描いた絵」とあります。実は、北斎についての解説本を昨日注文しました(北斎漫画ではありません)。ヒントがありそうですので、北斎について、少し情報を集めてみようと思っています。
・コメントの中にある、「日本画も写真ではなく、スケッチしたものをそのまま描くのではなく美しく構成し直しています」とありますが、私も同感です。
これからは、写実が基本ですが、デフォルメなど構成を考えていこうと思っています。
いつもながら、豊島さんの真摯な創作意欲に感嘆しております。この度は、構図について研究されておられますが、ひとえにご自身の絵をさらに発展させたい強烈なご意思の反映かと思います。私は絵も描かず、美術館もあまり出かけない(東京都美術館でしたか、若冲展は行きましたが、6時間待ってこりごりしました。)人間ですので勝手な発言になりますが、リアリズムであろうとキュービズムであろうと、出来上がった絵がそれなりの訴求力があれば、自由に表現してよい。というように変わってきているのではないでしょうか。
返信削除私の好みでは、「錦鯉」と「オニユリ」が好きです。前者は、静止する睡蓮の花と葉に対して錦鯉の優雅な泳ぎ(動き)が描かれており、錦鯉の色合いも素敵です。「オニユリ」は、背景の色のせいか、絵全体が陶器に描かれているようで、不思議な魅力があります。
これからも、構図の研究が反映された力作をご披露ください。
コメントありがとうございます。
削除コメントの中に「リアリズムであろうとキュービズムであろうと、出来上がった絵にそれなりの訴求力があれば、自由に表現してよいというように変わってきているのではないでしょうか」とあります。
解説本によれば、北斎の大波の絵について、「見る人をわくわくさせ楽しくする名画」とあります。自己満足ではなく、見る人への「訴求力」が重要ということですね。
課題は沢山ありますが、情報を集めて、新しいステップを進めたいと思っています。
絵についてのコメントはできませんが、貴兄の絵画に対する情熱はすごいですね!!他の方々のコメントも的を得ているように思います。皆さんすごいですね。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除・絵は人それぞれに直感的に感じるだけでよいと思います。私の場合、写実的な絵のほかに、情景を組み合わせて作者が何か意味を持たせようとしている絵があることに気付きました。この気持ちをもって、県レベルの絵の作品展を見ると今までとは違う興味がわくと思っています。
・ところで、3日前からぎっくり腰(左腰、立ち上がるとき痛い)になりました。高齢者向けの筋トレのTVをみて、一週間ほど前から少し試していましたが、これが原因のようです。気をつけましょう!!