まえがき
私が暮らす老人ホーム「 ライフケアガーデン熱川」の本棚で上の本を見つけました。
老人ホームで QC とは すごいと思い、 聞いてみるとこのホームではTQM 活動なども
活発で全国大会で度々発表しているようです。これは素晴らしいことで感心しました。
私は現役の頃 QC 教育を受け 上記の「7つ道具」も使いましたが、 細かい手法などは
忘れていました。そこで復習のつむりで手始めに 血圧の測定値 で ヒストグラムを
描いてブログに 先般 投稿したのです。
ところが、 「ミナヨシ会の仲間たち」の一人、O さんから すかさず 血圧のばらつきを
見るのなら、散布図の方が良いのではないかと コメントが寄せられました。
Oさんはある会社を任されて、社員教育にも力を入れ、ずいぶん 苦労もされたようです。
QC についても豊富な経験をお持ちなので、散布図の方がよいというコメントを重く受け
止め、 今度は散布図を描いてみることにしました。 まえがきが長くなりました。
「1」血圧について
看護師さんに血圧を測定してもらうと ” まあまあだね”、”今日は少し高いね” などと
言われます。 しかし ”高い” と言われても よほどのことがない限り、そのまま過ぎて
しまうのが 通例です。 何を以って ”まあまあ”、” 高い” と言われるのかといつも思う
のです。
多分看護師さんの頭の中にこのぐらいなら良いだろうという 血圧のイメージ があって それに 瞬時に照らし合わせて ”少し高いね” などと言われるのだと思います。
私にとって血圧は本当に 曖昧模糊 として、捉えどころのないものです。 そこで少しでも 曖昧でなくなればという期待もあり、Oさんの アドバイスに従い 散布図を描いてみました。
「2」散布図散布図は 「対になった2組のデータ X と Y を取り、 グラフ用紙の横軸にデータ Xを、縦軸に データ Y の値を目盛り、データ をプロットしたものである」 この X と Y の間で X の変化に 応じて Y が変化する場合、両者の間には 相関がある といい、相関の有無を統計的に判断 する方法を 相関分析 と呼ぶ、と本にあります。(今回相関については行わない。)
イメージ的には下記の通りです。
「3」血圧の散布図
3-1)血圧の測定区分
重要なことなのでもう一度 掲示します。
3-2)散布図
上の 8つ の区分ごとに 直近の 約60日分 前後の 血圧 データで 散布図を作りました。
横軸 及び 縦軸の目盛は ① ~ ⑧ 迄全て同じように揃えて、容易に相互の比較ができます。
3-3)測定値の集計表
「4」考察
4-1)集計表を見てもわかりますが、透析前後(③~④)の血圧は、他の区分より
大幅に低いことが分かります。 なお 散布図を見ればそのばらつきも 明瞭に分かります。
4-2)④透析後の血圧が低くなるのは医学的にも血液中の水分が除かれるので説明できるが
③ 透析前の血圧がなぜ低くなるのかわからない。 透析室に入り ベッドに横になっただけで
透析治療は始まっていないにもかかわらず、なぜ血圧が下がるか、 依然として謎である。
これは非常に重要な注目点です。
4-3)⑦日中の測定値は 測定者及び測定時刻が異なるので ばらつくのは理解できる。
4-4) 血圧(上)(下)の正常値は 140~120 / 90~80 として散布図にピンクの枠で示しました。
しかしこの 枠内に入るデータは極端に少なく ほとんど不合格であり、これも大きな
注目点です。しかし血圧が不合格でも何の 痛痒を感じることもなく生きているのである。
「5」今日の透析室 血圧
透析の入口 / 出口だけでなく 透析治療中にも体調の変化がないか 血圧を測定しております。
今日 ( 2024 / 12 / 4 ) の データを下に記します。(中3回の測定値は数値としては残らない)
透析中 血圧 (上) が 80 台になると 透析技師の方々は心配をされて私に 体調は悪くないかと
確認をされます。 そして血圧を上げるために脚を少し上げるか、 あるいは透析液の温度を
下げるかどうしようかと 私に打診をされます。 私は血圧(上)が80台でもあまり体調の変化を
感じないと回答するのが常です。しかし 80 台の数値を見ると私自身もさすがに少し不安に
なります。 そこで回診の時、H先生に問題ないか 質問をしました。
H先生の回答 少し低いが 頭痛あるいは 立ちくらみ などなく、透析後ホームに帰ってもよろめくこと などなく、血圧⑤はすぐ上昇してくるとのことだから、あまり心配しないでください。 との回答でした。 H先生がこの血圧でも心配はいらないとおっしゃり、「是」とされたのです。
この事実は私が今後 結論を出す上で大きな 追い風 となります。
「6」再び散布図
今まで8つの区分に従って 散布図を描きましたが、 ここではそれらのデータを1つの
器に入れて1つの散布図を描いてみました。
主要項目 参照表
1)それぞれ 480 の データ から標準偏差を算出しました。
2)それぞれの平均値から (+2σ)及び (-2σ)の所に赤線をひき、四角のボックスを描きました。
「7」結論
1)血圧の正常値 140~120 / 90~80 ( ピンクのボックス ) に入る確率は非常に低いと推定される。
2)血圧は健常者でも個人個人によって ばらつきも 平均値も異なると推定される。 そして
正常値も当然 個人個人によって変えるべきだと思います。
3)私の場合 上の 総合の散布図 でわかる通り、あれだけ ばらついていてもほとんど 身体的に
異常を感じません。 逆に言えばあのくらいばら ついても正常であるとも言えます。
そこへ ピンクで囲んだような正常値を適用して管理することは全くナンセンスだと 思います。
H 先生も 血圧(上) が 80 に低下しても問題が起こらなければ あまり心配する必要は
ないとおっしゃられたことこそ私の考えと同じではないかと確信します。
4)私は私個人の正常値を決めました。 すなわち 平均値から 2σ を プラスとマイナスに振り分けた
数値を 私の正常値と決めます。 上の図で言えば 赤枠で囲った四角の中は正常であるとします。
すなわち 具体的な数値では 下記を私の正常値と決めます。
162 > 血圧(上) >98
92 > 血圧(下) >54
もしこの正常値から外れる血圧値がたびたび出る様であれば 要注意 です。
それでは O さんに感謝の意を表しつつ
**** おわり ****
短い時間内で良く纏めたと感心しています。而もそれなりの考察もされて頭が下がります。石井さんが指摘している様に、何故透析前と透析碁が同じ傾向なのか不可解ですね。それと①起床時⑥昼食後⑧就寝前は同じ傾向で他と何が違うのか興味がありますね。血圧変動の特性を特性要因図でまとめて、最も寄与度の大きい特性と血圧地を散布図で表すと相関関係が判るかも知れませんね。
返信削除御承知のとおり、散布図は特性と特性、特性と要因、要因と要因の相関関係が把握できるので改善には有効な手法です。
11月17日もコメントしました。消えたコメントと多少違っている所もありますが…
返信削除いつも 丁重なコメントをいただき恐縮です。
返信削除透析前の血圧が低いのはなぜか私には分かりません。 異なる条件は透析室ではベッドに横になっていることです。姿勢によって血圧は変わるのかという点は今後追求したいと思います。 この辺になると実験計画法の領域かなとも 思います。
① 起床時 ⑥ 昼食後 ⑧ 就寝前 については、 実際のところかなり 測定時刻がバラバラなのです。就寝前と言っても、 実は遅くまで起きていて慌てて測定することもあるのです。①も⑥も同じです。 このことから 同じ傾向になるのではないかと思います。 相関関係については これから勉強します。 ヒストグラムと散布図で私の血圧の輪郭が分かりましたが、 個人ごとに この輪郭は異なると思います。 こうなると他の人の血圧の状態も知りたくなりますが、 大島さんの血圧管理は いかがでしょうか?いずれにしても大島さんのちょっとしたアドバイスで 私は相当 血圧について勉強することができました。 ありがとうございます。
それから 11月17日のブログに頂いたコメントに遅まきながら返信させていただきました。
石井さんも大嶋さんもこの年齢で、QCの7なつ道具を駆使できるなんてすごいですね!! しかも自分の健康状態をQCで論じられるなど頭が下がります。日頃の生活の中での活力の源泉ですね。
返信削除現役の頃には 野尻さんは指導者の立場から QC を推進されたことでしょう。 私は入社してすぐ QC教育を受けましたが、ほとんど忘れています。 現在は暇がありますので当時を懐かしく思い出しながら、ちょっと復習してみました。 今度は食堂で出される料理をQC的に解析できないかと思っていますが難しそうです。
返信削除いつもコメントをいただきありがとうございます。