ふと、ホームの本棚を見たら「QC 7つ道具」 という新しい本が目に止まりました。 この本をリクエストした職員さんに会って話をしたいと思い 確認したら、このホームの グループ健育会 本部から配布されたとのことでした。それにしてもこの本が本棚にある ことは素晴らしいことだと思います。
本の内容は
第1章 パレート図
第2章 特性要因図
第3章 グラフ
第4章 チェックシート
第5章 散布図
第6章 ヒストグラム
第7章 管理図
以上で QC 7つ道具 ということである。
「ミナヨシ会の仲間」の皆様にとっては QC 7つ道具などは 目新しくもないかもしれま
せんが、 私は大分忘れたり 思い違いをしていたところもあるようです。 そこで 復習を
兼ねて透析治療の 過程で測定した血圧のデータを使って ヒストグラム を作成して見る
ことにしました。
「1」ヒストグラム
1)ヒストグラムとは
「データの存在する範囲をいくつかの区分に分け、 各区分にはいるデータの出現度数を
数えて 度数表を作り、 これを図にしたもの」である。
2)ヒストグラムの見方と使い方
理想的なヒストグラム
見方
① 分布の中心位置はどこか
② データのばらつきはどうか
③ 分布の形は右か左にひずんでいないが
④ 分布は平らか、 とがっていないか
⑤ 飛び離れたデータはないか
⑥ 途中に歯のかけたようなところはないか
⑦ ふた山になっていないか
⑧ 分布の右か 左が 絶壁型になっていないか
⑨ 層別するとどうなるか、 その必要性はないか
⑩ 規格からはみだしているデータはないか
⑪ 分布の中心は 規格の中央にあるか
⑫ 規格幅に対して、分布はゆとりをもっておさまっているか
使い方
分布の姿を眺めて工程の異常をつかむ
規格外れはないがどうかを調べる
ばらつきや かたよりの原因を調べる
改善前後に層別して改善効果を調べる
以上のように 本には書いてありました。 それでは実際に ヒストグラムを描いてみます。
「2」血圧測定値のヒストグラム
血圧測定区分
1)1日に8回 血圧を測定しております。 ①~⑧が これ以降 重要なキーになり、この
区分に従って作業を進めます。
2)使用するデータは 血圧(上) のみとして、血圧(下) のデータは一切使用しません。
今後血圧と書いたら、それは血圧(上) を意味します。
3)測定期間は 2024/4/1 ~ 2024/10/31 7ケ月間のデータです。
血圧のヒストグラム
ヒストグラムの作成は「QC7つ道具」の手順に従って行いました。途中の計算や詳細は
省略して、結果である ヒストグラム を示します。
[ 縦軸 :出現度数 横軸 :血圧 n :データ数 X : 平均値 ピンクの縦線2本:正常値の
範囲 ]
1)血圧を示す横軸は上から下(①~⑧)まで同じになる様にヒストグラムを配置した。
2)ピンク色の縦線2本(正常値)も同様に同じになる様に配置した。
「3」考察
1)同じ目盛軸にヒストグラムを置いて ① ~ ⑧ を比較するとかなり Visible になった。
2)透析前後の血圧は他の測定区分に比べて 平均値で20前後 下側にずれている。実際に
透析中に血圧が 100 以下になることもあり、透析技師が心配して気分はどうかと
確認されることが た びたびあるが、特に問題なし。
3)透析終了後 自分の部屋に戻り 昼食前、(時間にして30分後) に測定した血圧は大幅に
異なり 平均値 で 20 前後 巻き戻されてしまうことがわかる。 この理由を 透析技師に
質問すると、透析している時 は血管内の水分も除水される ためとのことであった
が、 今少し 掘り下げて検討の余地があると思う。(透析の時は仰向け姿勢で測定。)
4)⑦日中の血圧は 時間も 測定者も一定ではなく バラバラなので 測定結果も値が非常に
ばらついている。 これは当然のことであろう。
5)ピンクの縦棒2本の間、すなわち 正常値に入るデータの数(合格率としよう)は、
⑥昼食後が一番 高くて 61.4% である。もしこれが 生産工場での製品の合格率だった
ら考えられないことである。人間の血圧 だからこれで大きな問題も起きないのかも
しれない。
6)医学的な掘り下げは別にして、血圧のデータをQC的に整理して ヒストグラムに描い
てみました。 これは QC の練習のつもりであります。 エクセルでグラフを描かせま
したが、櫛の歯の様になり、きれいなヒストグラムが描けませんでした。 しかし
QC 的に血圧のデータを集団としてVisibleにするには良い方法だと思います。
「4」血圧の正常値
血圧の正常時については 専門家の先生方が いろいろな方法で説明をされております。
私は 比較的 分かりやすい下記の資料を参考にしました。
血圧(上) の別の呼び方、 収縮期血圧を見ますと青色の部分は140 ➡130 ➡120以下となって
います。ただし 120以下はどこまで下がってもよいというわけではないと思います。
そこではっきりしている 140 ~ 120 を正常血圧とみなして ヒストグラムの中にピンク色の
柱 2本で表しました。 これは絶対的なものではなく 仮置き と考えても結構です。
(註)血圧(下) 、拡張期血圧は 今回は 全く関係ありません。
「5」再び ヒストグラム
今まで血圧(上)の測定値を① ~ ⑧ に区分して集計し、 ヒストグラムを描きましたが、 測定
区分を取り払い 全測定値を1つの器に入れて ヒストグラムを描いてみました。 これも QC の
勉強と思ってトライしてみました。データ数は n=1285 です。
1)データ数が多いと ヒストグラムも理想の形に近づいてくる。
2)私の血圧は正常値よりも少し高めになっていることがわかる。
3)正常値の 範囲に入る比率(合格率)を計算すると 45.7% で、約半分は規格外れとなって いる。 これが 生産工場で部品を製作する工程であったら、まず考えられないことである。
4)ヒストグラムの泣き所は 時系列的な検討が一切できないことである。 時系列的に見
るには やはり管理図あるいは グラフなどを描いてみる必要がある。
5)7ヶ月の測定期間において 私はとくにめまいがしたとか 胸が極端に苦しくなったとか
危機的な状況に陥ったことはありませんでした。 逆に言えば 上の ヒストグラムと
同じデータが出ても危機的な状況は起こらないだろうとも言えます。
6)極端ですが、血圧の正常値は個人個人で異なるのではないでしょうか? 私の場合は
ざっくり云って、正常値は 180 ~ 100 でもよいのではとも思います。だって、この
範囲で何も緊急事態は起きていないのですから。
7)しかし、 厳密には 標準偏差 などを出してみて、何パーセントの確率であなたの血圧の
正常値は この範囲と示すべきではないでしょうか? ヒストグラムの練習をしながら
突拍子もないことを考えてしまいました。
**** おわり ****
釈迦に説法で恐縮ですが、QCの基本はバラツキを与える原因を捉えて改善を進めることですが、バラツキの状態を目に見える形にする手法がヒストグラムです。従ってデータがどんな値を中心にバラツイテいてどんな形の形の分布になっているかを知る上では有用です。規格内で製品を作る場合などは、全数選別した場合、下限値または上限値が抑えられている場、平均値の分布が混入した場合などは形で読み取れます。しかし、血圧は規格外を除外する訳でもないので、散布図の方が良いのでは・・・です。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除大島さんの QC の知識に対し、 私のそれは足元にも及びませんのであまり 議論したくないのですが…。
私が知りたいのは ①~⑧のステージで、特に透析室内での血圧がどのようになるのかということです。血圧は上と下がセットになっているので話を単純にして血圧(上)のデータだけでヒストグラムを作りました。 この血圧(上)/①~⑧の関係では散布図は作れません。しかし
血圧(上)/ 血圧(下)の関係でしたら 散布図は描けますので アドバイス頂いたように練習も兼ねて トライしてみます。
今後もご指導よろしくお願いします
昨日コメントしましたが、表示されていません。石井さんも、大島さんも、この年齢でQCを論じるなんてすごいですね!!
返信削除大島さんの QC はすごいと思いますが、 私は初歩的な部分しかわかっていません。野尻さんだって 現役時代には相当QCを勉強されたと思います。”能ある鷹は爪を隠す” と言いますからね。
返信削除コメントが出ないのは 原因不明ですが、最後に必ず「公開」をクリックしましょう。
いつもコメントありがとうございます。