2018年8月7日火曜日

祇園祭ー3      imasan


山鉾巡行・・つづき
7番目の綾傘鉾が去って8番目の白楽天山が来る。
8.白楽天山
唐の詩人白楽天が道林禅師に仏法の大意を問う姿である。
道林禅師は手に数珠と払子を持ち松の枝の上に座し、白楽天は唐冠をかぶり笏を持って立っている。
前懸は文化5年新調された紺地雲龍文様刺繍裂と、万延元年(1860)蟷螂山より買受けた毛綴の三点継もある。
毛織は、トロイ城陥落のときアイネイアスが父を救出する図の優品である。





白楽天山はヨーロッパのタペストリーを懸物を複数使用し飾っているのが特徴です。
前懸は鶏鉾や鯉山のものと同じく、ギリシャの叙事詩「イーリアス」の中のトロイ陥落を一場面をあらわしています。
胴懸、水引、そして見送りはフランスから購入したタペストリーで、他に染織作家山鹿清華の「北京万寿山図」手織錦の見送もあります。


白楽天山の御神体の一つ・道林禅師は、松の木の上で生活していたといわれていて、その高さはカササギの巣と同じかなりの高さだったそうです。





当日は、警官も多く出ていて、向こう側に渡りたい人には、地下道を利用するように指導していた。



9.鶏鉾

天下がよく治まり訴訟用の太鼓に苔が生え鶏が宿ったという中国の故事の心をうつしたものという。 鉾頭の三角形の中の円形は鶏卵が太鼓の中にある意味をあらわすといわれる。



天水引は下河辺玉鉉、下水引は松村呉春(17521811)、松村景文(17791843)など四条派画家の下絵になるものである。前懸のペルシャ絨毯。







胴懸の草花文様インド絨毯は、近年復元新調されて用いる。


見送は有名な毛綴で近年の調査によるとトロイの皇子へクトールが妻子に別れをつげる図であるという。この見送は、16世紀頃ベルギーで製作、江戸時代初期に輸入されたものと考えられ、国の重要文化財に指定されている。











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10.太子山

聖徳太子が四天王寺建立にあたり、自ら山中に入って良材を求めたという所伝にもとづき、 他の山が真木に松を立てているのに対して、この山は杉を立てている。 









前懸は緋羅紗地に阿房宮の刺繍。

















胴懸は金地孔雀唐草図のインド刺繍、見送は平成15年新調の波濤に飛龍文様錦織を用いる。














11.伯牙山
 

琴破山」ともいわれる。山の御神体(人形)は中国の周時代、琴の名人伯牙とその友人鍾子期との物語に取材、伯牙が鍾子期の死を聞いてその琴の絃を断ったという故事をあらわしている。人形は手に斧を持ち前に琴が置かれている。人形には「金勝亭賽偃子」の墨書銘があり、天明以降の作と考えられている。

前懸には上下詩文、中央に人物風景の有名な「慶寿裂」をかけその下に龍文様の錦を用い、さらに人物図の押絵切付の水引によって飾っている。
胴懸は花卉尾長鳥文様の綴錦で、見送には「柳絲軒」在銘の仙人図刺繍を用いている。蝶型の角金具は珍しい意匠である。






12.芦刈山
謡曲「芦刈」に基づく。故あって妻と離れて難波の浦で芦を刈る老翁が、やがて妻との再会をはたす夫婦和合の姿をあらわす。

御神体(人形)の旧御頭は天文6年(1537)七条仏師運慶の流れをくむ康運作。天正17年(1589)銘をもつ重要文化財指定の「綾地締切蝶牡丹文片身替小袖」は山鉾最古の衣装。





胴懸は尾形光琳原画の「燕子花図」(1994)。欄縁の彫金飛雁の錺金具は明治36年(1903)川辺華挙の下絵で藤原観教作。旧胴懸の「鶴亀蜀紅文絲錦裂」(江戸時代)をはじめ、「獅子蜀紅文繻珍小袖」(古い見送など貴重な染織品を多く残している





現在の前懸と見送は山口華楊原画の段通「凝視」(1986)と綴織「鶴図」(1985)。











次は、月鉾


13.月鉾

 

天下がよく治まり訴訟用の太鼓に苔が生え鶏が宿ったという中国の故事の心をうつしたものという。 鉾頭の三角形の中の円形は鶏卵が太鼓の中にある意味をあらわすといわれる。

天水引は下河辺玉鉉、下水引は松村呉春(17521811)、松村景文(17791843)など四条派画家の下絵になるものである。前懸のペルシャ絨毯。



天井の金地著彩源氏五十四帖扇面散図は天保6年(1835)に町内の住人岩城九右衛門の筆。破風蟇股の彫刻は左甚五郎の作と伝えられる立派なものである。
軒桁貝尽しの錺金具は松村景文(17791843)の下絵、四本柱の錺金具、破風飾の金具などはいずれも華麗なもので山鉾のなかでも最高のものである。
天水引の霊獣図刺繍は天保6年(1835)円山応震の下絵である。


前懸、後懸は華麗なインド絨毯、胴懸はインドやトルコの絨毯を用いており、北面の「中東蓮花葉文様」は平成22年(2010)に、南面の「幾何菱文様」は平成23年(2011)に復元新調された。












この先の河原町四条で、辻回しがあるので、動いては止まる。

その際、車方が車止めをする。

鉾の下にも人がいる。










月鉾には、若い引手が大勢いた。

ベテランに聞いたら、京都銀行の新入社員だった。

辻回しでは、使い物にならないと言っていた。
綱の一番端は、ベテランの青年が握っていた。








ベテランの警備係。

月鉾は、12~13トンあり一番重いと説明してくれた。







8 件のコメント:

  1. 8番鉾の白楽天山から13番の月鉾迄、どの鉾にも誇らしい特徴があって、絢爛豪華さは見る人を魅了させている様です。私は、12番鉾の芦刈山に興味をもちました。夫婦和合の姿をあらわしているということで、数ある鉾の中で最も庶民に近い感覚の鉾でないかと思ったからです。中国の古事や日本の歴史によるのでなく、謡曲を基にしているからなのでしょうね。いずれの鉾の引手も、皆揃いの着衣で全体のオーラを高めていますね。見ていても安らぎます。鉾の辻回しも迫力があり、見応えもあるんでしょうね。

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  2. 大嶋様、読んでいただき有難うございます。鉾と山の名前も色々ですね。
    大きな鉾と違って、小さな山には名前にちなんだ物語があります。
    芦刈山は、謡曲・芦刈からきているので、心打つ筋道がありますね。
    胴懸は、琳派で有名な尾形光琳原画の「燕子花図」で、すっきりとした絵が目立ちます。
    鉾の辻回しは、大勢の引手が、音頭取りの扇子の合図で、直角になるまで、引く方向を変え何度も引きますので、迫力があります。
    引く度に、何重にも取り囲んだ周りの観客から拍手が起こります。

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  3. 祇園祭を理解するためには、歴史は勿論、絵画、謡曲、・・・などの幅広い知識が要求されますが、この点私はお手上げです。ただ豪華絢爛、凄いお祭りであることは分かりました。ネットで調べてみると33の山鉾が京都の四条通りを中心に碁盤の目のように区切られた街に配置されていました。これで祇園祭の規模の大きさを推し量ることが出来ました。これが時間とともに位置を変えていく様は想像するだけで幻想的です。それにしても imasan はシリーズでこの祇園祭を豊富な写真と詳細な解説で投稿されたことは、驚きで随分勉強されたことと感服いたしました。
    ありがとうございました。(A.Ishii)

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    1. 石井様、山鉾は、ネットで調べられた様に、京都の室町通り、新町通りの町内の多く配置されています。
      裕福な商家の集まる街で制作されたと言えます。
      宵山では、その商家で展示の屏風など見て歩きます。
      写真を選んで大きさを修正して掲載するのに時間がかかります。
      また、写真や文を入れ替えると、前の配置と変わってしまい、位置がずれて困ります。
      画像と文の変更は、野尻さんが書いていた様に、上手くhtmlに変換されないですね。
      祇園祭は、範囲が広くて、まだまだ、勉強が足りません。

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  4. A.Ishiiさんのコメントに全く同感です。理解するには、歴史、芸術、故事など広範な知識が必要ですね。これだけの歴史ある素晴らしい出し物をまじかに見たら、それは感動するでしょうね。
    ところでこの場をお借りして、私の投稿予定のお知らせです。最近描いた絵4点で、来週の初めに投稿したいと思い準備中です。

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    1. 鉾は、交差点での辻回しで時間がかかるので、止まっては動きの繰り返しで、その間に前後左右の懸物を見ます。同じものはないということですね。
      それぞれ、出来た当時のその町内の人の考えで制作されています。

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  5. 山鉾巡行全貌のレポートで見応えがありますね。他の町の夏祭りの山車とは格の違いがあるというか、千年の都に住まう人々の誇りと心意気が感じられます。ヨーロッパやトルコ、ペルシャ、インドなどから輸入されたタペストリーや絨毯が競って使われているように見受けられますが、当時の社会の民度の高さとか繁栄のようすなどがうかがわれます。猛暑の中、労作に感謝いたします。

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    1. 安楽岡様、お読みいただきありがとうございます。
      書いておられますように、高価な輸入されたタペストリーや絨毯が競って使われていますし、日本のものも著名な明治、大正、昭和の画家の絵が下絵として使われ織り上げられています。動く艶やかな美術館です。

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