これは、私が、今年1番、自分の精力を最大限に使った案件でした。私的なことで、掲載しようかどうかと惑いました。
「前書き」
福井県越前市(旧名武生市)に我が家のお墓があった。6年ほど前に住職が亡くなられ、その後を息子である別の寺の住職が面倒を見るようになった。
3年前にお寺にある位牌を整理するから来る様にとの手紙が来て、引き取りに行ったが、見つからなかった。その際、墓じまいをしたらどうかと打診があった。母親の23回忌が済んだらしましょうと答えた。また、息子からこのお寺の面倒を見るのはやりたくない、いやいややっているとの話だった。
「菩提寺の解散」
昨年初め、檀家の代表から、お金の使い道が不明朗なので、檀家でお寺の面倒を見て行くことになったと手紙が来た。良かったと思った。ただ、檀家12軒と少なく、大変だなーと思っていた。
ところが、昨年10月に入り、住職代理(息子)からお寺を解散するとの檀家と住職代理の間で交わした契約書が送られて来た。また、お墓の移動をするようにとの書面も添付されていた。檀家代表は、お寺から除籍していた。何があったかは、分からない。
「墓じまいの決断と通知」
年が明けてもお寺から何の連絡もないので、こちらから墓じまいをするとの手紙を送った。
「墓じまいについて調査」
また、墓じまいについて調べ始めた。インターネットで以前に調べ、良さそうに思え3年前にカタログを貰っていた業者に見積もりを依頼した。
見積もりには、現地での確認が必要とのことで、時日を要した。18万ぐらいと思っていたが、32万円ほどだった。お墓の面積で見積額が違うと言う答えだった。見積もりと同時に「墓じまいの流れ」・手順書が送られてきた。まず第一にお役所(越前市役所)との手続きが必要なことが分かった。
「改装申請書」
墓じまいは、お墓を撤去して更地に戻すことであるが、それでは済まず、「改葬」申請と許可が必要だった。「改葬」とは、すでに埋葬されている遺体や遺骨を、所定の手続きを踏んで、現在のお墓以外のお墓、永代供養墓、納骨壇など別の形態のお墓に移動させることです。改葬の手続きは、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)第2章に定められており、自分の家の墓であっても自由に遺骨を持ち出すことはできない。
兎にも角にも、お骨の移動先が決まらないと墓じまいは出来ないのです。改葬申請書には、移動先のお寺からお骨を受け入れると言う承諾書をもらい添付し提出する必要があります。
「受け入れ先のお寺」
これまで、自分には後継ぎがいないことから新たなお墓は作らないことに決めていた。それで、永代供養墓をどこにするかと言うことを調べて来た。
結論は、家内の両親のお骨が納められている京都の西本願寺の大谷廟と日本のどの宗派も受け入れる大阪の四天王寺の2つを選んだ。小学校の担任の先生が、入っておられる一心寺もあるが、最近、改葬による納骨は受け付けなくなった。
「菩提寺へ電話」
お寺からは無しのつぶてで、思い余ってこちらから代理住職のお寺に電話した。電話口で、お寺の取り壊しについて、市と県の許可を得て、手続きは、90%済んでいるとのことだった。代理住職が住職を務めるお寺に移動する家と墓じまいされる家と両方があり、5軒ほどが済ませているとのこと。
墓じまいの場合、移動先のお寺を探すのも大変だろうから永代供養墓を立てることにしており、檀家と話合い積み立てをしている、3年先になるがそこに入れてはどうか、お骨は預かると提案された。とりあえず、話合いに行くことにした。墓じまいでは、いやでも、お寺の管理者との話し合いが欠かせない。
越前市には、小学校の同級生がおり、今はコロナで活動休止中だが、しっかり者の同窓会の幹事の女性2人と事前に相談することにした。
「越前市へ・行動予定」
武生駅に到着すると、同級生2人が車で迎えに来ていた。どこかで食事と言うと隣の駅近くの温泉施設の食堂に案内された。
今日の予定は、お墓に寄ってから代理住職のお寺に行き、その後、市役所で改葬申請書を貰い、書類の内容について説明を聞くこと。また、地元の石材店で墓じまいの見積もりをしてもらうことを伝えた。
「小学校同級生の友人と相談」
友人、女性2人との食事の席で、事の次第を告げると、住職提案の永代供養墓にお骨を収めること、また、お墓を移動することにも猛反対だった。この先、私が居らなくなったら、誰もお墓に来る人も無いし、お寺との付き合いも煩わしい。問題を先送りするだけだと。
この様に、友人2人にお尻を叩かれたが、これが良かった。
「お寺との話し合い」及び「閉眼供養」
食事後、お寺に行き代理住職と話をし、3年先にはどうなっているか分からない、電話で提案された永代供養墓への納骨は止め、墓じまいするとをしっかりと伝えた。
ついでに、住職と共にお墓に行き、工事前のお墓の魂抜き(閉眼供養)をしてもらった。
「越前市役所へ・改葬申請について相談」
その後、越前市役所に行き、改葬申請書について担当から説明を受け、申請用紙を貰った。申請には、改葬申請書、埋蔵証明書、受け入れ証明書の3つの書類の提出が必要。
a.改葬申請書には、改葬する先祖の名前、住所、命日、年齢などを記入したリストの提出が必要。
b.埋蔵証明書には、お墓にどの方が、何年、何月,何日に埋葬されたかの証明をお寺から貰い提出。
c.受け入れ証明書には、新たにお骨を受け入れるお寺の発行する受け入れ承諾書の提出が必要。
つでに、当地では、どこの石材店で墓じまいをされているか聞いた。お店の名前を教えてもらった。
「墓じまい業者訪問・見積もり依頼」
市役所を後にして、同級生の車で教えてもらった石材店に行くことにした。その石材店は、運よく、友人が、お墓の修理を依頼したお店であることが分かり、直ぐに連れて行ってもらえた。ただ、お店の主人が留守で、奥様にお墓の写真を渡し見積もりを依頼した。
ご主人との電話連絡で、明日の朝に見積もりを渡せるとの回答を得た。友人のお孫さんと知り合いということで、なるべく安くしてもらう様に頼んで頂けることになった。
当日は、温泉施設「湯楽里」に泊まって、明日朝、見積もりを取りに行くことにした。
「墓じまい工事依頼」
翌朝、電話で確認すると10時頃には、見積もりが出来るとのことだった。友人が迎えに来てくれ、まず、お墓に行って骨壺数を確認した。
石材店に行き、見積もりを見て驚いた。20万円だった。ただ、特別に安くしたので内緒にとのことだった。また、お骨は、骨壺から出して乾かすという丁寧ぶりに感心した。骨壺は、3つにしてもらうことにした。
墓じまいを正式にお願いすることにした。ただ、改装申請書を提出し改葬許可書が送られて来た後、工事開始となる。
「残された今後の作業」
この先にやるべき事は、改葬先のお寺を決めること。これが1番大事である。そのお寺から改葬承諾書を発行してもらい、それを改装申請書に添付し越前市役所に送り、改葬許可書を得る。
許可を得たことを石材店に連絡し、墓じまいの工事をしてもらう。工事が終わり次第、お骨を引き取りに行く。
引き取ったお骨と改葬許可書を持参することでお寺に納骨が出来る。何とも時間のかかる仕事だ。
「改葬先の決定」
越前で宿泊中に、納骨先の候補の1つである西本願寺の担当窓口に電話をした。まず、西本願寺系列のどのお寺か聞かれた。そのお寺の檀家であるという証明書の提出が必要と言われ、納骨出来ないと判断した。
改葬先は、四天王寺にすることにした。
「改葬申し込みと承諾書入手」
自宅に戻り2日後、改葬許可を得るために、過去帳から改葬者のリストを作成、保健証、印鑑を持って大阪の四天王寺を訪れた。これまで、何度となく電話で確認し納骨手続きを担当する所は、境内にある六時堂と聞いていた。新快速で大阪に行き、環状線で天王寺で降りて、四天王寺に歩いて行った。いつもは大勢の参拝者で賑わっているが、今はコロナの時期で、境内は閑散としていた。
境内中央にある六時堂に行き受付で、改葬納骨したいと申し出た。改葬される方は、どなたですかと聞かれたので、曾祖父、曾祖母、父親、母親、叔父の5人の名前などを書いたリストを手渡した。この中の代表者名前で納骨をと言ったら、納骨される皆さんの名前を書くべきと叱られた。この5人の名前で、納骨承諾書を発行してもらえた。
これでご先祖の永大の住処を得られた。聖徳太子創建の由緒あるお寺が、我が家の新たな菩提寺だ。これで良かったと思った。
「改葬申請書を越前市役所に発送」
家に戻り、早速、改葬申請書を書き、納骨承諾書を同封し越前市役所に郵送した。郵送が規約で、改葬許可書を送ってもらう返信用封筒を同封した。
「改葬許可書入手と石材店に工事依頼」
それから、待つこと10日ほどで改葬許可書が届いた。直ぐに石材店にメールで知らせた。工事は、2日ほどで終わるが、お骨の乾燥に数日かかるとのことだった。
「越前市へ・お骨の引き取り」
先方の工事都合日もあり、お骨を引き取りに行ったのは、改葬許可書が届いてから20日後だった。墓じまいの工事業者・石材店には、お骨を乾かすなど丁寧な対応に、感謝の気持ちを伝えた。見積もり通りの費用だつた。
今回も、また、同級生のお世話になった。越前市を3度訪れ、その他の同級生とも会うことが出来、ミニ同窓会をした感じだ。同級生の皆様には、感謝してもしきれない。
「四天王寺へ納骨と諸手続き」
自宅にお骨を引き取り、3日経ってから納骨に、大阪天王寺にある四天王寺を再度訪れた。前回の手続き時に受け付けを担当した女性に今回も担当してもらい、覚えていておられ丁寧な対応をして頂いた。
契約確認書に従って、1つ1づつ内容を確認しながら進められた。お骨は、乾かして来られましたかと聞かれたので、乾かしましたと答えた。越前市の石材屋さんのお陰である。先に、戒名で納骨が良いと言われ、俗名、戒名、命日などを事前に書いて行ったので、手続きはスムーズだった。
納骨費用は、1霊当たり1万円で、他より安く庶民のお寺と言える。納骨で書いた5人の戒名を記入した、小さな過去帳を筆書きで作成された。
また、骨壺には5人の戒名を筆書きしたお札作成され、仏前に置かれれ前に私の手を3つの骨壺の上に貼った。最後に、お骨を拝んでお別れし、六時堂の仏前に他のお骨と共に並べて置かれた。今は、コロナでお堂の中に入れないので、お堂の前に立ちお坊さんの読経に合わせてお経を唱えた。この後、骨壺は、墓地に隣接する建屋に安置され、いつでも拝みに行ける。
この様に手のかかる手続きのために、待ち時間含め2時間を要したが、それなりの充足感があった。
お骨は、今年の11月15日に行われる、納骨総祭法要後に合祀墓に収められる。
「墓じまいを終えた心境」
何とか、先祖の落ち着き場所を探すことが出来た。新たな永代の菩提寺が出来一息ついた。
大阪は感染者が多い、お参りしたいので、早くコロナが収束して欲しい。
---------------------
はがき絵1枚掲載
墓じまいをすることが凄く大変なことが良く分かりました。特に菩提寺が離れていると何度も出かける労力は馬鹿にならないと思います。小生は長男ですが、家の後継ぎは弟に任せたのでその点は気分的には救われています。家を建てたとき、家内から実家と同じお寺の墓地を購入したいと言われたので、曹洞宗ならいいよと条件を付けたら曹洞宗だからと購入しました。それから数年後お寺から墓地の雑草が周辺のお墓に迷惑をかけるので、せめてカロート[唐櫝]だけでも作って欲しいと要請があり、二度手間にならない様にとお墓を作りました。
返信削除その時知ったのですが、このお寺は臨済宗でした。禅宗の中に曹洞宗、臨済宗、黄檗宗があるので全く関係がないわけではないが釈然としない心境でした。若い世代では墓じまいが増えているようです。お墓を作って良かったのかフッと思う時があります。
臨済宗と曹洞宗は、開祖は違いますが、同じ流れを汲むと禅宗です。同じ禅の教えと思います。
削除臨済宗の本山は京都の妙心寺で、会社の実習時に、座禅や禅問答の宿泊体験を境内にある東海庵でしました。
大嶋様のお寺は、どんな感じなのでしょうか。
ゆくゆく、ご夫婦、ご子息代々が入られる様にとお墓(カロート・石棺)を建てられたのですね。
年に数万円のお布施は、仕方ないと思いますが・・。
大抵は、檀家がお寺を支えているので、数が多い家内の実家の本願寺派のお寺のお布施は少ないですが、檀家の数が少ない日蓮宗などは運営が厳しいと思います。本堂の修理、耐震補強など。
何故、お金を払わないといけないかのかと思いますね。
私が、たまに行く奈良の薬師寺は、檀家がいなく貧乏寺でしたが、高田好胤さんが、修学旅行に来た生徒さんに般若心経を書いてもらって寺に納めてもらう代わりに1000円を寄進してもらい、それが積もって金堂、西塔、講堂など再建しました。金持ちのお寺です。
地方で檀家に支えられるお寺とは違います。
現代のわれわれには、割り切れない思いもあると思います。
詳細な墓じまいの経緯を説明いただきありがとうございました。当方現在は、同様の問題はありませんが、孫が女の子一人でこのままいきそうなので、息子の代でこの問題が起きそうです。そんなわけで今川さんのブログをコピーして仏壇の中に入れておきました。
返信削除この問題とは関係ありませんが、我が家のお墓は、臨済宗のお寺にあります。先代の和尚は、東大印哲を出たこの世界のエリートですが、いろいろあって、鎌倉(本山の所在地)へ出て行ってしまいました。今でも本山との関係が密接で、本堂の改修とか庫裡の新築などの際は本山から賓客を招いて盛大に披露したりするせいか、寄付金がたいへんです。祖母の代に世話になり、応分の寄付をしたりしたので、院居士の戒名になっており、その結果現在も対応した寄付額を要求されます。そんなわけで我々夫婦は、院居士を辞めようか迷っております。
人口減少や時代の変遷によって、お寺が減少するのも寂しいですね。夫婦別姓を唱える人もおりますが、そうなると今立っている何々家の墓というのも意味をなさなくなります。夫婦別姓はこの国を破壊します。それよりも、神社がどんどん減少しているようです。自然に任せるのも問題ではないかと思います。
余計なことを書きましたが、今川さんが最終的に聖徳太子の四天王寺に落ち着かれたことは、たいへん良かったと思います。
長々と書いた文章を読んで頂き、ありがとうございます。
返信削除わざわざコピーされて仏壇に保管されるとは、恐縮です。
やったことを順番に書いて行ったら、長くなりました。
お墓のあるJR武生駅には、この件で3回行きました。
HY様も大嶋様と同じ臨済宗ですね。
本堂の改修や庫裡の新築などされるには、相当お金持ちのお寺です。
でも、指定された金額の寄付金など大変です。
檀家の集まりにも出ておられるのでしょうか。
付き合いが浅くなれば、寄付額も変わるかも知れませんが・・・。
戒名でも院居士が付くと3倍ぐらいになりそうですが、付けるのは残された方で、その方の思いに寄ります。
村や町に住む人達とお寺や神社がかかわって来ただけに、若者が出て行くなど住む人が少なくなることで、維持できなくなって行きます。
人間は、終いには死ぬ運命にあるので、最後に、お寺や宗派がかかわってきます。
いつかは考えないといけない事柄と思います。
私には、娘が2人(嫁いで別姓)、弟夫妻(子供なし)がおります。お墓は下田市で曹洞宗のお寺にあり、両親と妻(3人)が眠っておりますが、早晩墓守がいなくなります。自分の寿命をあと1年として、墓じまいをすることをご住職と相談して、同じお寺の境内にある「永代供養塔」にお骨を納めなおし、永代供養とすることにしました。費用は、三十三回忌を終えていない遺骨がある場合は、最大8回忌までとして、それに平均的なお布施額をかけたもの(私の場合32万円程)、を一括支払います。その他に実際のお墓の撤去作業を墓石業者と直接相談して行う。撤去作業にはお寺は関与しない。この様な流れで手続きを進め、年内に終了したいと思っております。imasan の場合と比べると手順は簡単で、役場など関与せず、お寺との契約だけです。しかし、私の体調が今一つで、墓石業者に相談しておりません。涼しくなったら話を進めます。なおご住職とは今まで非常に良い関係を保っております。簡単に書きましたが、お墓をどのようにして維持していくかという問題は深刻になっていくでしょう。そして自分の眠る所もさがさなければなりません。
返信削除石井様の選択は良い選択と思います。
削除最近、お寺も自分の墓地に永代供養墓を設けて、檀家の人やそうでない人の納骨を受けるようになって来ています。また、墓じまいで更地にしたお墓は売りに出せます。
お布施額は少し高いですが、3人の分ということでしょうか。
墓じまいの工事は、地元石材店が安い様です。私は、市役所の改葬担当者に皆さんどこの業者を使っているか聞きました。
教えて貰った業者が安かったです。数社の見積もりを取られたらどうでしょうか。知り合いに聞いてみるのも良いです。
住職さんと良い関係を続けておられると言うことで、それが1番良いことです。
imasanの墓じまいの話、遅まきながら読ませていただきました。大変な仕事でしたね!! 私の場合は、先祖の墓は弟夫婦が跡を継いでいるので
返信削除高崎の地に墓が有り、忘れた頃にお墓参りをするくらいで、全くのんきなものです。おふくろの13回忌の法要も、コロナ禍のため1年遅れで墓参りだけで済ませました。私の場合は新たにお寺を探して墓地を購入する必要が有ります。まだ手付かずのままです。どうしようかと女房と相談はしていますが、なかなか進みません。imasanの体験を参考にしてそろそろ決着をつけなければと思う次第です。