2025年10月12日日曜日

私の人工透析治療生活(15)      A.Ishii

一般的に腎臓の働き(腎機能)を見るには血液検査で血液中にクレアチニンが
どれだけ残っているか検査して、逆に腎臓がクレアチニンをどれだけ濾過でき
たかを
判断することになります。わたくしは末期的な透析患者であり、
腎臓は働いておらず、透析機器が腎臓の代わりをしています。私の透析機器の
働きを見るために、透析治療開始直前と終了直後にそれぞれ血液を採取し、
透析前後のクレアチニン量で透析機器の働き具合を判断することになります。
透析器機の働きが悪く、クレアチンを計画どうり濾過できなければ透析時間を
延長したり、血液流量を増やしたりすることになるかと思います。

「クレアチニン(CRE)」

クレアチンは筋肉活動の老廃物で、健康な場合主に腎臓から尿として排出されますが、
腎臓の機能が低下すると体内に蓄積して血中濃度が上昇するため、腎臓の機能状態を
評価するための指標として用いられます。

「eGFR」

eGFR  は Estimated Glomerular Filtration Rate  の略で、日本語では推算糸球体
濾過量と呼ばれます。これは血液検査で得られる血清クレアチニン値や年齢、性別
から腎臓の働き(糸球体の血液濾過能力)を推定した数値で、慢性腎臓病の診断や
重症度分類に使われる重要な指標です。(eGFR の計算方法は省略します)

「1」クレアチニン(CRE)と eGFR の推移

表1         
       月別クレアチニン(CRE)とeGFRの推移                        


 a)  私の場合 月初めに透析直前、直後の血液を採取して検査します。
   上の表は過去一年間の血液検査によるクレアチニン量とそれに基ずき
   eGFR を算出したものです。 

    b)  eGFRは 年齢や性別、その他の条件を 加味して算出します。慢性
  腎臓病の診断や重症度分類の 判断指標として使われます。

    c)  クレアチンの基準値と単位:0.61-1.04 mg/dL     eGFRの単位:mL/min

グラフ1


グラフ2

  グラフ1およびグラフ2は表1をグラフ化したものです。
  慢性腎臓病の診断や重症度分類の判断は、クレアチニン数値に
  年齢、性別、その他を加味して算出した eGFR で行います。 

「2」腎臓病の重症度分類基準
表2

重症度は上の6段階に分類され、数値が小さいほど重症であります。

「3」私の重症度
 現在の私の場合、透析前が平均 4.2    透析後が平均 12.2 で eGFR 区分は
 G5 で、透析治療で一生懸命頑張っても G4 には届きません。つまり
 苦しい思いをして透析治療を受けても末期的腎不全状態を脱する
 ことはできず、末期的な状態のまま
やっと現状維持していると言えます。

「4」過去15年間の状況
表3


過去15年間のクレアチニンのデータからeGFRを算出しました。

グラフ3


表3をグラフにしたものです。青色のクレアチニンは参考で、オレンジ色の
eGFR に注目してください。2010年以前にはそこそこ健全な腎臓でしたが
年を追うごとに eGFR は下がってきました。その間かかりつけの医師からは
クレアチニンに注意するように何回も言われました。しかしこれと言う手立ても
せずに、2023年7月に呼吸および歩行困難に陥り西伊豆病院に緊急入院
して特殊な応急透析治療をしました。そこで血管の手術などをして通常の
透析治療が可能になったので、老人ホームに入居し、同時に熱川温泉病院で
通常の透析治療を受け始めて今日に至っております。

現在は末期的腎不全の状態ですが、透析治療を1週間に3回受けることによって
グラフ2のごとくeGFR はなんとか平衡を保っております。もし透析をやめれば
eGFR はたちまち右肩下がりになり、一週間の命でしょう。

透析治療はつらく、そして憂鬱な治療です。

どうか皆様、物言わぬ臓器 腎臓を労り、血液検査に
関心を持ち、クレアチニンについてしっかり注視する
ことをお勧めいたします。

「5」追記
コメント欄にimasanから2015年~2016年にかけてクレアチニン値が急に
上がっているが、何か上昇の理由はありますか? とのご質問を受けたので
追記としてお答えいたします。

グラフ4

クレアチンだけのグラフを書いてみました。このグラフからわかる
ように、ご指摘の2015年から2016年にかけて急激に上昇したのでは
なく、 2018年から2020年にかけて急上昇を始めたと理解できます。

わたくしとして考えられるのは糖尿病です。そこで表3に血糖値を追加
記入して、表3改としてさらに血糖値だけをグラフ5として示します。

表3改


グラフ5

2020年が突発的に血糖値が上昇しております。その理由は体重を減量
したいがために暑い体育館で卓球を激しくしました。当然大汗をかき
甘いスポーツドリンクをがぶ飲みしました。その結果血糖値が急上昇
しました。かかりつけ医師から、即刻総合病院に行くように言われ、
伊東の市民病院で糖尿病専門医の診察治療を受けました。厳しい食事
制限をしてなんとか血糖値は下がりましたが、それからは血糖値を
下げる薬の服用を始めて、今日に至っております。
(現在の服用薬は トラセンタ錠 5mg  1錠)

それからかかりつけ医師からきつく注意されたことは体重です。
その当時体重が増えて98kgになりました。対策としてカロリー計算を
しながら厳重に食事制限をした記憶があります。下の資料は当時医師に
状況を報告した一部です。

資料1

上の資料は見にくいのですが、体重は2021年1月の時点で88kgまでに
減少しました。しかしその後も肥満には悩まされ、透析開始直前の
2023年8月でも81kgありました。ある意味で透析治療とはすごい
もので除水に除水を重ね現在は61Kgです。

はっきりしたことは断定できませんが、クレアチニンが上昇した理由は
血糖値が上昇し、糖尿病と断定され継続的に薬を服用していること、
および肥満が原因ではないかと思います。

以上で imasan への返信とさせていただきます。
                         以上
                           


9 件のコメント:

  1. 非常に良く分かりました。透析でクレアチニン値が改善されるのですね。理解出来ます。
    私は2023年まではクレアチニンが1.2以下でしたが、膀胱癌の抗癌剤治療の後、1.28程になりました。抗癌剤治療が腎機能に影響する医師と相談と書いてあったのをしませんでした。eGFRが41なので問題ないと言われていますが気になります。eGFRが10だと透析と聞きました。1にも2にも減塩ですが、食事に行ったりします。

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  2. さすが今さんだけあって腎臓にも深い関心をお持ちですね。わたくしの場合eGFRが30になった頃(2018年)から掛かりつけの医師が透析を少しずつ勧められました。しかし家庭の事情もあり拒否してきました。その間足のむくみもあり、事あるごとに医者は減塩するようにわたくしに注意しました。でも塩は美味しいのでなかなか減塩は難しかったです。腎臓は自覚症状がないのでわたくしも油断していた点もあります。さらに医師からは腎臓に効く薬はないとよく言われました。
    今さんのeGFRが41というのは決して万全ではなく、ステージG3bになると思います。どうかお大事にしてください。

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  3. 石井様のクレアチニン値は2016年に急に上がっています。2015から2016年にかけて何か病気などされていませんか?上昇の理由は何か思い当たる理由はありますか?
    私も慢なので気になります。

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  4. コメントありがとうございます。返信内容はブログ本文の方に追記しました。自信ある回答はできませんが、考えられる理由は糖尿病と過度な肥満だと思います。糖尿病は一度レッテルを貼られると、いつまでも継続的に薬を服用しなければならないと思います。今でも透析の先生から薬を処方されています。これが私が思い当たる理由です。良いアドバイスがあればお願いします。

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  5. 糖尿病と何らかの関係がありそうですね。
    何かが変わると急激に悪くなると言うことですね。
    細心の注意が必要に思いました。

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  6. 糖尿病があると腎臓病の発生リスクが1.3 〜 4.3倍に高まると書いてあるのを見ました。

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  7. 再度のコメントありがとうございます。インターネットから、
    「糖尿病と腎臓は非常に深く関係しています。糖尿病によって高血糖が続くと腎臓の毛細血管が障害を受けて機能が低下する(糖尿病性腎症)を引き起こします。進行すると、むくみや体のだるさなどの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になることもあります。」
    私の場合むくみが続き、かかりつけ医師は年中それを指摘しておりました。これで糖尿病と腎臓病は密接な関係があることがはっきりし、納得です。 ネットにはさらに詳しくいろいろ書いてありました。

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  8. 貴重な資料と経験を有難うございました。私は二か月に一回通院して診察を受けていますが、この様な分かりやすいせつめいは、一度も受けておらず○○が高いからとか××が低いからと薬を追加したり増やしたりするので、時々質問するのですが次の患者が待っているからとパスされています。ですから、貴重な情報に感謝しています。

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  9. 私の経験がお役に立だったのであればこれ以上嬉しいことはありません。
    大嶋さんの場合、医師は質問に応じてくれないとのことですが、医師にも個人差があるのではないでしょうか? わたくしはその辺恵まれていた方ですが、私の方が先生の言うことをないがしろにしていた感があります。
    自分の愚かさが今になって悔やまれます。

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