コメントするのにいつも名前を忘れてしまいます。今後気をつけます。野尻貞夫
前にも一度掛軸の制作に関して投稿しましたが、今回の作品について改めて制作のプロセスを記述いたします。必要なければ飛ばして作品のみ見てください。
1、今回の題字は、まず1点は、福沢諭吉翁の書を「臨書」しました。上手く対象の書と同じに書けるかが課題です。選んだ理由は:大変すばらしく気に入ったからです。
2点目は、竹久夢二の読んだ五、七、五、七、七の短歌です。夢二がモデルで、恋人の彦乃と共に、湯涌温泉に療養にきて読んだ句のようです。読売新聞の日曜版に掲載されたもので、気に入ったのでかな文字で書いてみました。
2.まず字を書くところから始まりますが、気に入るような文字配列や、全体のバランスの取れた題字にたどり着くまでに、相当な時間を要します。書く紙もかなり使います。
3.書いた文字は皺だらけです。裏返して噴霧器で霧吹きして皺を延ばし、糊の付いた和紙を張り付けます(裏打ち)。この工程を2回繰り返します。当然1回目の裏打ち後、乾燥してから2回目の裏打ちをします(増裏打ち)。
4.作品の裏打ちと同様に、裂地(きれじ)も裏側から2回の裏打ちをします。裏打ち後十分に乾燥してから、必要なサイズにカットします。通常は、天地(上部と下部の裂地)の部分と、両サイド(柱)の部分にカットしておきます。
飾りの一文字、両サイドの柱、中廻し、天地などを順番に作品(本紙)とつなぎ合わせます。つなぎ合わせは約3ミリの幅で、ボンドで張り付けます。本紙と裂地を張り合わせたものを下図に示します。
5.上部の八双(はっそう)と下部の軸棒(じくぼう)をボンドで包み込みます。八双及び軸棒はあらかじめ長さ及び両端の軸先(じくさき)を取り付けておきます。上部に「釻(かん)」を取り付け、これに掛緒(かけお)、と巻緒(まきお)を取り付けます。完成したら上部に「引首印」、左サイドに姓名印、雅号印を捺印します。これですべての工程が終了です。
6.完成した掛け軸を表示します。
以上こまごまと解説しました、掛軸だけ表示したのでは短すぎるので余分なことを書きたしました。適当にスキップして鑑賞してください。写真の配列や位置決めが思うように出来ません。出来たままで表示しました。野尻貞夫